ライズがバカ売れの影で苦戦するC-HR! それでもトヨタがSUVラインアップを拡大し続けるワケ (2/2ページ)

ボディサイズやエンジン排気量など選択肢も豊富

 このオフロード派とシティ派、その中間というキャラクターの違いに加えて、SUVはボディサイズやエンジン排気量も幅広い。ライズは直列3気筒1リッターターボエンジンを搭載した5ナンバー車で、ランドクルーザーは全長が約5m、全幅が約2mの大柄なボディにV型8気筒4.6リッターエンジンを積む。SUVではキャラクターとサイズが多様化しているから、車種の数も豊富だ。

 今の日本車がさまざまな地域で生産されたり、販売されていることも影響している。RAV4は北米など幅広い地域で売られ、CーHRも欧州などを中心にラインアップされている。中国もSUVの品ぞろえが豊富だ。世界各国で売られる生産規模の大きなカテゴリーだから、車種も増やしやすい。

 ただしユーザーニーズが細分化されていても、ひとつのメーカーが数車種のSUVを用意すれば、競争関係が生じるのは避けられない。C-HRは発売直後では絶好調に売れたが、その後に登録台数が下がり、RAV4とライズが発売されると下降の仕方が一層激しくなった。

 販売店からは「C-HRを目当てに来店されたお客様が、後席と荷室が狭いと感じて、ひとまわり大きなRAV4を購入することもある。またトヨタのいろいろなSUVをひととおり見たお客様が、ライズで十分と判断されることも多い」という話が聞かれる。

 クルマは用途や予算だけでなく、好みや趣味性によって選ばれる商品だから、選択肢を豊富に設けることも大切だ。軽自動車も車種数が多く、各メーカーともに全高が1600mm以上の背の高い車種を複数用意している。

 エンジン、プラットフォーム、安全装備などを共通化しながら、いかにデザインやキャラクターの個性を表現するのか。合理化を図りながら、選択肢を多彩に用意する工夫が大切になっている。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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