「ハスラー」でも「ジムニー」のライバルでもない! 絶好調タフトの「絶妙な立ち位置」と「強み」 (2/2ページ)

商品力は極めて高いと言える!

 では、タフトはどんなユーザーに向いているのだろうか。基本は若い男性ユーザーで、1人または2名乗車のパーソナルユースがメイン。クルマに個性の強いワイルドなファッション性を求め、ライトアウトドアを楽しみ、ACC(アダプティブクルーズコントロール)がGターボに標準装備されるだけでなく、NAモデルのGにもクルーズパックとしてOP設定されていることから、高速走行の機会が多いユーザーにもぴったりだ。もっと言えば、ハマーやシープラングラーのようなワイルドにもほどがあるクルマに憧れてはいるものの、実際にはコンパクトなクルマに乗りたいユーザーにもうってつけということになる。

 ハスラーはカラフルなボディカラー、丸目ヘッドライトのキュートさから、女性でもファッションの一部として気軽に付き合える1台。もちろん、ボディカラーによっては老若男女にフィットする。雪国、アウトドア、車中泊、悪路といったキーワードにも応えてくれるし、ACCが付くターボモデルなら、軽自動車ナンバーワンと言ってもいい乗り心地の良さから(タフトの乗り心地はエクステリアデザインに合わせ!? 硬めだ)、高速走行もラクラクで、ロングドライブにも適している。後席使用時にも荷室スペースをある程度確保したいユーザーにもうってつけである。

 超人気で、依然として納期に時間のかかるジムニーに関しては、やはりマニアックな本格軽クロスカントリーモデルだけに、素人が気軽に乗って大満足できるクルマとは言い難い。道なき道を行くことに喜びを感じる本格的な悪路走行を好むアウトドア派や、それこそ僻地の過酷な条件下でクルマを使わなければならない、走破性を最重要視するユーザーにこそ使ってもらいたい”道具”的価値が分かる人向けだ。逆に言えば、都会の足に使うには、ファッション性はともかく、もったいなさすぎるクルマなのである。

 男のボクとしては、そうした3車のキャラクター分け(仮)からも、タフトは今の時代の空気にぴったりだと思える。メルセデスベンツのGクラスが富裕層にウケているのは周知の事実だが、そんなノリが100万円台で、スカイフィールトップやダイハツ最新の先進運転支援機能=ACCを含むスマアシ、なんとロッキー用のフレームを使った軽自動車最上級のかけ心地&自然かつ安心感絶大なサポート性を持つ前席、軽自動車としては最先端のダイハツコネクト、車内用ダイハツWi-Fiなどとともに手に入るのだから、商品力は極めて高いと考えるべきだろう。よーく見ればハスラーの二番煎じ、ガチライバルでは決してないのだが、軽クロスオーバーの王者、ハスラーの牙城を脅かす存在であることは、間違いないと思える。

 ダイハツは若い男性ユーザーをメインターゲットにしているため、「男は黙ってタフト」と言いたいところだが、草食系男子、草食系グルマに嫌気がさしている、タフトの頼りがいがありすぎるタフでスクエアな男気あるデザインに惚れ込む女性ユーザーも、きっと多いのではないだろうか。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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