見てもわからない「中身」の衝撃進化! 中古車選びで「要注意」の劇的マイナーチェンジ4選 (2/2ページ)

マイナーチェンジとは思えない大幅改善を行ったモデルも存在!

3)ホンダ・ストリーム

 ホンダ車では、なつかしい5ナンバーサイズのミニバン、わずか2代の寿命だったストリームも、中古車で選ぶべき2代目のシリーズ途中で劇的なマイナーチェンジがあった。それは、2009年6月の終わりのこと。ハイライトはスポーティーグレードとして2列シートのRSTグレードを追加したのだが、全車、足まわりを変更。

 それを担当したのが、アメリカホンダ帰りの開発責任者で、ロサンゼルスの荒れに荒れた高速道路を知る男で、タイヤの動き出しで「ダンパーを動かさない」というセッティングを施した結果、じつにスムースな走り出し、スポーティーな操縦性と乗り心地の良さを両立させたのである。

 ストリームファンであれば、N-BOXの初代と違い、2014年型の最後期モデルを選ぶのもいい。もちろん、実質的な後継車のジェイド(の2列シートRS限定)も視野に入れていいと思う。それほど人気がなかったため、割安で中古車を手に入れられる可能性がある。

4)ホンダ・フィット

 最後もまた、ホンダ車になってしまうが、今も昔も日本の国民車的存在の先代(3代目)フィットである。記憶の残る劇的マイナーチェンジは2017年6月の終わり。綾野剛、二階堂ふみがCMに登場し、CM曲は侍ギタリスト、MIYABIのFire Birdだった。

 マイナーチェンジではまず、ずんぐりとしたボディデザイン(失礼)のイメージをある程度払しょくできた前後バンパーの変更やLEDヘッドライトの採用がある。そして当時最新の先進運転支援システム=自動ブレーキ、誤発進抑制機能、車線維持支援システムなど8項目の機能を満載したホンダセンシングも用意。特筆すべきは、このクラスでは贅沢すぎるACC=アダフティブクルーズコントロールを加えたこと(渋滞追従はしない)。

 インテリアでは、人気のHVモデルのブルーのあしらいを排除。全グレードともに黒基調に変更。例えばシフターもシルバーとブラックのモノトーンに(ほぼマウスに見える)。上質感にこだわったHV-Lホンダセンシンググレードでは、本革風の落ち着いたプレミアムブラウンインテリアを新設定。さらにナビはApple CarPlay、Android Autoに対応。スマホとの連携を強化させたのもこのタイミングである。

 が、このマイナーチェンジ以降の先代フィットを本当にすすめたい理由はここから。とんでもなく本気な、常識的にはあり得ない大改良が施されたのである。

 何しろ全車、ボディー剛性を高めるためボディーの肉厚をアップ。Aピラーまわりの整流改善、燃費向上のためのエンジンのフリクション低減(燃費性能は最高37.2km/Lに)、ダンパーの乗り心地改善のためのチューニング、EPS(電動パワーステアリング)の応答性向上、そして静粛性向上のためにダッシュボードのインシュレーターの追加など、マイチェンとは思えない改善項目が達成されている。

 いやいやそれだけじゃない。今回、HVのグレードは4タイプあるのだが、上質感にこだわったHV-Lに加え、大人のスポーティーHVグレードとしてHV-Sを追加。そのHV-SはタイヤがRSと同じ185/55R16サイズのスポーツタイヤを履くとともに、エンジンマウントのダイレクトダンパーのチューニング、遮音機能付きフロントガラスの採用、フロアまわりを中心とした遮音材のメルシート(アスファルトのようなもの)の厚みアップ(標準の2mmから3mmに)、ダッシュボードのインシュレーターの増量など、静粛性に特化した改良が施されているのだから徹底している。

 7速デュアルクラッチトランスミッション=DCTのギクシャク感が緩和されたのも、このマイナーチェンジにおいてであった。このマイナーチェンジで、操安性のために乗り心地は多少、犠牲にしてもいい……そんな過去のホンダの呪縛からやっと解かれた!? 熟成のマイナーチェンジ版フィットになったということだ。

 いい方を変えれば、そのマイナーチェンジの前後では、別物と言えるぐらいの進化があったのである。最新のおだやかな顔つきのフィットではなく、シャープな切れ目のフィットに魅力を感じるなら、今でも満足して乗れる先代最終型の中古フィットは悪くない選択かも知れない。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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