運転が苦手! 好きじゃない! が克服できる「ちょっとした」アイディアとは (1/2ページ)

選ぶときからクルマに対する感情が影響している

 幼いころからクルマが好きで、早く免許が取りたくて取りたくて、運転することがとても楽しいと感じるAさん。通勤通学や仕事のために、どうしてもクルマが必要で仕方なく運転することになったBさん。この2人ではそもそも、スタート地点でのクルマに対する感情が大きく違っています。

 Aさんはクルマに憧れや夢、ワクワクする気持ちを持ち、「運転したい」という前向きな感情があります。Bさんはクルマを道具や交通手段の1つと捉え、「運転しなければならない」という義務感が先立っています。食事だって同じですが、「カレーが食べたい」と思って食べるカレーと、「カレーを食べるしかないからしょうがない」と思って食べるカレーは、まったく美味しさが違ってくるはず。運転が苦手だと感じることは、仕方なく食べるカレーと同じなのです。

 そして、クルマ選びの際にもその感情は影響しています。Aさんは、どのクルマにしようかなと買う前からウキウキ、いろんなクルマを見て比較したり、口コミを調べたりと、クルマについての知識がすでに広がっていくでしょう。そこから自分に似合うクルマの条件や理想像もふくらんでいきますが、もし予算の関係で理想通りのクルマが買えないとしても、ボディカラーやインテリアを好きな色にしたり、エンジンだけはターボにしようとこだわったり、1つでも「好きだな」と思えるポイントが多いクルマを選ぶはずです。

 ところがBさんは、まず優先するのは価格や燃費、維持費がなるべくかからないといった、クルマ本来の楽しさや魅力が詰まった部分ではないところから選んでしまいがち。「走ればなんでもいい」「クルマなんてどれでも同じ」と考えていることが多いのです。でも本当にそうでしょうか。先ほどのカレーに例えるなら、Aさんのカレーは好きなお肉、好きな野菜がたっぷり煮込まれたカレーです。Bさんのカレーは、材料費をケチったため肉も野菜も入っていない、ただカレーの見た目をしているだけのカレーです。どちらが美味しいかは、言わずもがなというところでしょう。

 こうして2人は、そもそものスタート地点から大きく違っているわけですが、もちろんいくらAさんがクルマが好き、運転が楽しいと思っていたとしても、免許を取って公道デビューすれば、少なからず嫌な思いや怖い思いもするはずです。車庫入れで壁にこすってしまうかもしれないし、初めての場所で道に迷って四苦八苦するかもしれません。

 でもそのときに、Aさんは「もっと運転が上手くなりたい」と思うのに対して、Bさんは「もう嫌だ、運転なんてしたくない」と思います。この気持ちが、運転が苦手と感じるかどうかの最初の分かれ道。もっと運転が上手くなりたいと思ったAさんは、「きっと上手くなれる」と自分を信じています。でもBさんは、何もしないうちから上手くなることを諦めて「どうせ自分には無理」と決めつけてしまっているのです。

 Aさんが周囲をよく見て熟練ドライバーの運転マナーなどを真似したり、運転が上手な人のテクニックに注目したり、あらゆる情報を吸収していくのに対して、Bさんはずっとそのまま。運転の回数が増えれば慣れてきて手際が良くなる部分はありますが、「慣れる=上手くなる」ではないのが運転です。

 カレーだって、今度はもう少しタマネギを炒めてみようとか、スパイスを入れる配分を変えてみようとか、いろんな工夫をしていけばどんどん美味しくなりますね。でもBさんのカレーはずっと同じ味。それどころか、慣れてきて手抜きをすれば最初より不味くなる場合もあるのではないでしょうか。苦手を克服しようとする意思のある人とない人の差は、美味しくしようと努力したカレーとそうでないカレーの差と同じなのです。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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