久々登場の「本格」国産ホットハッチ! GRヤリスは欧州AWDライバル車に比べて買いか? (2/2ページ)

性能差をあれどコスパや価格満足度でみるとGRヤリスは魅力的!

 ただ、逆の見方をすればコストパフォーマンス、価格満足度でいえばGRヤリスに軍配が上がるのも事実。価格を馬力で割ったパワーあたりコストでいうと、GRヤリスは約1万4500円で、A45は約1万9000円、RS3が約2万1000円で、M135iは約2万円となるのだ。そのほかの装備面での違いも考慮しないとフェアな比較にはならないが、GRヤリスのコスパは高い。

 そもそも、ハッチバックボディにハイパワー4WDという共通点だけでGRヤリスと、これらドイツ系ホットハッチを比べるのは適切ではないともいえる。というのも、A 45は8速DCT、RS3は7速DCT、M135iは8速ATのトランスミッションとなっているが、前述したようにGRヤリスの4WD車は6速MTオンリーの設定となっている。単純にまっすぐの速さを求めるのではなく、愛車との対話を楽しむためのハイパーリンク4WDマシンとして仕上げられたのがGRヤリスである。

 しかも、その対話の楽しさの背景にあるのはWRCからのフィードバックである。メルセデス、アウディ、BMWいずれも過去をさかのぼればWRCで活躍したメイクスではあるが、現在進行形のWRCマニュファクチャラーではない。

 一方で、GRのモータースポーツ部門であるTOYOTA GAZOO Racing WRCチームはコロナ禍によって変則的となった2020年シーズンにおいて、第6選終了時点で、マニュファクチャラーズランキングは201ポイントで2位(トップのヒュンダイは208ポイント)であり、ドライバーズランキングでは、エルフィン・エバンスが1位、セバスチャン・オジエが2位となっている。そうした活躍を支えるテクノロジーが愛車にフィードバックされていると感じられるのはGRヤリス・オーナーだけの特権。

 そうしたバックグラウンドに価値と喜びを見出すのであれば、ハイパワー4WDホットハッチのライバルは、ライバル足り得ない。GRヤリスには、オンリーワンの価値があるといえるのである。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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