やや「無理矢理」感もあるけどなぜ? SUVが「狭い」3列目シートを用意するワケ (1/2ページ)

やや「無理矢理」感もあるけどなぜ? SUVが「狭い」3列目シートを用意するワケ

SUVのサードシートにはそもそも構造的に不利な面が多い

 2020年の上半期、もっとも売れた乗用車はトヨタ・ライズ。SUVがトップを飾るのも珍しいが、そのOEM車であるダイハツ・ロッキーや、トヨタRAV4、トヨタC-HR、ホンダ・ヴェゼル、マツダCX-30といった車種たちもコロナ禍の中で堅調。コンパクトカーやミニバンといったメインどころに食いついて健闘している。

 そんなSUVのなかには、ミニバンのような3列シート車もあるのをご存じだろうか。マツダCX-8やトヨタ・ランドクルーザー&ランドクルーザープラド、レクサスRX、ホンダCR-V、日産エクストレイルなど各メーカーがラインアップしている。コンパクト系のSUVに比べると販売台数は落ちるが、一定のニーズはあるとみていいだろう。

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CR-Vの走り画像はこちら

 だがその一方、実際にSUVのサードシートを見てみると正直窮屈そうなのだ。そもそもSUVは車高が高いからフロア位置も高く、それでいてルーフは低めゆえ室内高にあまりゆとりがない。とくに3列目はフロアが高くなるので、足を自然な角度まで下ろせず、着座姿勢も苦しくなる。ボディはワゴン形状だが、ボンネットが長めな分、室内長もミニバンほど広くできない。おまけにドアはヒンジ式で3列目へのアクセスも良いとはいえない。

CR-Vの3列目シート画像はこちら

 なかには「子供じゃないと乗れなくない!?」という車種もある。なぜそうまでしてメーカーは3列シート仕様を作っているのか。簡単にいうなら「ニーズがあるから」のひとことで終わってしまうが、もう少し突っ込んで考察してみたい。

 まずは3列目シートを搭載する現行のSUV(国産)を挙げてみよう。()内の数値は3列シート車の室内長だ。

 レクサス…レクサスLX570(2760ミリ)、レクサスRX450hL(2630ミリ)

 トヨタ…ランドクルーザー(2520ミリ)、ランドクルーザープラド(2520ミリ)

 マツダ…CX-8(2690ミリ)

 日産…エクストレイル(2555ミリ)

 ホンダ…CR-V(2520ミリ)

 三菱…アウトランダー(2580ミリ)

※三菱・デリカD:5は基本ボディ形状がミニバンなので今回は省いた

 これらのなかでも3列目にもっともゆとりがあるのはCX-8。たいていの車種は2列目に大人が普通に座った場合、3列目の人は膝が前席にくっついてしまうレベルなのだが、CX-8は若干の余裕あり。大人のフル乗車でもなんとかなりそうな雰囲気である。

 だがそのCX-8にしても、一般的なミニバンの3列目とは比較にならない。それ以外の車種ならなおさらだ。座席の形状や質感、アームレストやエアコンなどの装備、頭上のクリアランスといったポイントに多少の差はあれども、劇的な違いはなく、総じて広いとはいえない。

 昔から3列シートを採用していたのはランクル&プラドだが、今主流のクロスオーバーSUVのなかで早かった車種といえば三菱アウトランダー。2005年の発売当時から2列シートの5人乗りに加えて3列シートの7人乗りも用意しており、このジャンルの草分けのようなイメージもある。残念ながらその3列シートを備えたガソリン車は生産終了となり、今後は2列シートのPHEVのみになってしまうのだが……。それはさておき、参考までにアウトランダーのサードシートについて三菱の広報部にいくつか質問してみた。

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 Q.3列シートを採用した理由は?

 A.発売当時、このクラスで3列シートを搭載しているSUVが珍しかったこと。またラゲッジ床下に格納するシート構造を採用することで、普段は5人乗り仕様と同等のユーティリティを確保できると考えたためです。お陰様でご好評いただき、2009年ごろには約80%のお客様が7人乗りを選択されるようになりました。そこで2010年からは5人乗りを廃止しています(5人乗りは2012年12月にPHEVで復活)。

 Q.3列目シートの強みは?

 A.SUVでありながらミニバンのように大勢の乗車が可能であることです。また優れた走行性能を有しているのもメリット。4WDモデルでは三菱独自の四輪制御技術「S-AWC」を搭載し、意のままの操縦性と卓越した走破性を両立しています。

 Q.どんなユーザーに支持されている?

 A.キャンプや釣り、マリン&ウインタースポーツといったアウトドアレジャーを趣味に持つ、比較的若い4人~5人家族の方が多いですね。室内の広さや多人数乗車時のゆとり、シートアレンジや使い勝手などを重視されているようです。なお5人乗りのPHEVモデルの方は2人世帯のお客様に選ばれることが多く、モーターならではの加速や運転の楽しさといった走行性能に加え、静粛性や環境性能、日々のランニングコスト、補助金といった経済性も重視されているようです。

 Q.3列目が狭いといった声もあるが、それに対する率直な意見は?

 A.アウトランダーの3列目は、たとえば実家に帰省した際に祖父母や親戚の方を乗せるような場合。あるいはお子様の部活や習い事などの送迎時など、おもに短い時間の乗車を想定しています。つねに3列目もお使いいただくことを想定されているお客様にはデリカD:5をおすすめしております。

 Q.3列目の快適性や居住性を確保するために努力した点は?

 A.現行モデルでは3列目シートの格納構造を見直し、荷室空間を侵すことなくスペースを確保しました。同時にシートの厚みを増して乗り心地も向上。また静粛性を強化し、収納スペースなども充実させることで、3列目の快適性をアップさせています。

三菱アウトランダーのシート画像はこちら

 ということで、やはり狙いは「SUVなのに7人乗れる」。ただミニバンと違うのは、日常的に3列目を使うというよりは、「たまに乗せることもある」「イザという時に乗せられる」といった補助的・エマージェンシー的なニュアンスである点。コンパクトミニバンで3列シート仕様をラインアップするトヨタ・シエンタやホンダ・フリードに近い感覚かもしれない。

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