生き残るのは至難のワザ! 期待されて登場するも消えた「5ドアハッチバック」5選 (2/2ページ)

実用性には優れていても陰に隠れてしまったモデルも存在

3)日産プリメーラ

 一方、5ドアハッチバックで一時代を築いたのが日産プリメーラだ。とは言っても、日本ではなく欧州市場でのことである。初代P10型(1990〜1995年)から2代目P11型(1995〜2001年)、最終型となる3代目P12型(2001〜2008年)まで、1.8リッターから2.0リッタークラスを受け持つ4ドアセダン/5ドアワゴン/5ドアハッチバックの3車型を用意し、ヨーロピアンテイストの走り味(とくに初代)が注目されるモデルだった。

 しかし、日本での主力は4ドアセダンだった。日本車離れしたハンドリングが評価され、スポーツセダンとして人気を集めたが、ファストバック形状の5ドアハッチバックは、高い運動性能を備え、実用性には優れるものの、セダンでもないワゴンでもないスタイルがマイナス要素となり、終始影の薄い存在となっていた。

4)スズキ・エリオ

 居住性を確保した5ドアハッチバックという視点で言うなら、スズキがリリースしたエリオ(2001〜2007年)も優れたモデルだった。ただ、これも国内より海外での需要を見越した車両で、販売計画では海外3000台/月、国内1000台/月が目標のモデルだった。スズキは、軽自動車のトップランナーとして知られるメーカーだが、普通車でもカルタスワゴンといった完成度の高い車両を上梓するなど、商品作りに長けた側面を持っていた。

 エリオは、まさにそうしたスズキの商品企画が生み出した車両で、プラットフォームはエリオ専用に新設計されたものだった。実用性に重きを置き1.5リッターと1.8リッターの二本立てでシリーズを構成。当初は5ドアハッチバック車のみの設定だったが、後に4ドアセダンが追加された。車両全高は1550mm(5ドア)/1545mm(4ドア)と通常の乗用車より高めの設定で、室内空間の広さを意識した車両性格がうかがえた。

 5ドアハッチバックは2001〜2006年まで生産され、その後はSX4にバトンタッチ。ユーティリティの高い5ドアハッチバックよりスポーティでワイルドな感覚のSUVに路線転換したかたちになっていた。

 このほかにも、小型トールボーイワゴンあるいは小型FF2BOXの5ドア仕様として、ダイハツYRV(2000〜2005年)やホンダ・ロゴ(1996〜2001年)など、意欲的なモデルもいくつか商品化されたが、いずれも1代限りでモデルは消滅。ミニバン化、SUV化の波が押し寄せるなかで、実用的な車両性格の5ドアハッチバック車が生き延びる道は、かなり狭いものとなっている。


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