衝撃の「価格差」はドコに理由? 同じクルマなのに最安値と最高値グレードがあまりに開いている車種3台の中身 (1/2ページ)

標準モデルと比べて2倍近い価格設定がされているモデルも!

 1台のクルマの価格は、最上級グレードでも、常識的には最廉価モデルからその1.5倍以内ぐらいが一般的だ。たとえば、ホンダN-BOXを例に挙げれば、N-BOX Gホンダセンシングの141万1300円から、N-BOXカスタムG EXターボの199万6500円(FF)というように、である。

 しかし、なかには、2倍前後もの価格差、つまり、最廉価モデルに対してバカ高なグレードをそろえるクルマもあったりする。その中身の違いっていったい何なのか……?

1)トヨタGRヤリス

 ここ最近に登場した、バカ高グレードを持つクルマの代表格が、トヨタのマスタードライバー “モリゾウ”の「トヨタのスポーツカーを取り戻したい」という想いのもと、「モータースポーツ用の車両を市販化する」、という逆転の発想で開発したトヨタ自動車初となるモデルであるヤリスのGRシリーズではないだろうか。

 ヴィッツの後継車のコンパクトカー、ヤリスをベースに、WRCで戦うために開発されたクルマでもあり、標準型ヤリスの139万5000円~に対して、GRヤリスは倍近い265万円からという値付け。それだけでもびっくりなのに、GRヤリスの最高価格車となるRZハイパフォーマンスは、な、なんと、今をときめくアルファードのHYBRID X 7人乗りの459万円とほぼ同額の456万円もするのである(極端にいえば、ヤリスのもっとも安いグレードの3倍以上!!)。

 ここで、元町工場の専用ライン=GRファクトリーで生産されるGRヤリスのラインアップを整理すると、2WD+CVTのRSが265万円。これは、標準ヤリスと中身別物のメーカーコンプリートカーだと考えれば、まぁ、価格はすんなり納得できる範囲。ガソリンZグレードだと価格は192万6000円なのだから。

 が、GRシリーズのなかでも4WDのRZグレードともなると、RSの1.5リッター、120馬力、14.8kg-mに対して、1.6リッターターボ、いきなりの272馬力、37.7kg-mというスペックを持ち、4WD、6速iMTとなるRZが396万円、そのうえのRZハイパフォーマンスに至っては、すでに説明したように、RZと同じパワーユニットでありながら、456万円、つまりRZより60万円も高いプライスタグを付けているのである。

 その違いはどこにあるのだろうか。まずはエクステリアで、ブレーキダクト、ピアノブラックのラジエーターグリル、リヤスポイラーなどはRZハイパフォーマンス専用装備となる。インテリアでは、プレミアムスポーツシート(ウルトラスウェード+合成皮革)がおごられ、GRヤリスのスポーツ走行に本当に必要かはともかく、オーディオは8スピーカーのJBLサウンドシステムを標準装備しているのである。

 走行面でもじつは大きな違いがあり、前後サスペンションがRZハイパフォーマンス専用チューニングとなるほか、タイヤ&ホイールも、RZが225/40ZR18サイズのダンロップSP SPORT MAXX050、ENKEI鋳造アルミホイールを装着する一方、RZハイパフォーマンスはタイヤサイズこそ一緒ながら、ミシュランパイロットスポーツ4SとBBS鍛造アルミホイールがおごられている。

 ブレーキはフロントアルミ対向4ポットキャリパー、リヤアルミ対向2ポットキャリパーとスリット入りベンチレーテッドディスクブレーキを備えているが、RZハイパフォーマンスのキャリパーはレッドでGRロゴ入りのカラード仕様となり、オーナーにとってはRZとの違いが一目で分かる、ジマンのポイントとなるに違いない。

 ちなみに、アイドリングはRZハイパフォーマンスでも静かで、クラッチも決して重すぎない。乗り心地はさすがにハードだが、3気筒感が残るエンジンは、回すととてつもない怒涛のトルクを発揮し、速く、そしてゴキゲンに楽しい。RZのほうは、GRヤリス最大のハイライトと言えるエンジンはRZパフォーマンスと同じでも、乗り心地はややコンフォータブル。

 大人の遊び道具として使うなら(非サーキット走行前提)、RZが適しているともいえそうだ。とはいえ、それでもすごい中身、作り込みだから、くどいようだが、トヨタ86のMT車でもっとも高価なGTリミテッド・ブラックパッケージ6速MTの341万8800円より約54万円も高い396万円なのである。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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