王道のミニバン&セダンが苦戦! ユーザーが「流れた」2つのジャンルとは? (2/3ページ)

ファミリーカーの代表格であるミニバンも販売台数が減少

 というのは、じつは優秀な軽自動車が増えて販売台数を伸ばしている陰で、割りを食っているのはコンパクトカーではなく、セダンとミニバンなのです。ひと昔前なら、子どもが生まれたら当然のようにミニバンを買う人が大勢いたものですが、それに取って代わったのが、N-BOXに代表されるスーパーハイトワゴン。しかも、すでにミニバンに乗っていた人たちも、次に買うときにはスーパーハイトワゴンがいいよね、という流れができつつあります。

 そしてミニバン以前のファミリーカー代表だったセダンに至っては、もともとすでに需要が減っていたところに、ユーザーのボリュームゾーンだった団塊世代がリタイヤし、年金生活に伴って維持費が抑えられる軽自動車に移行していくという現象が。デザインなどで若返りを図り、若年層のユーザー獲得を狙ったセダンもありましたが、残念ながらどれも失敗に終わったと言わざるを得ません。

 これは新車販売台数の推移を見ても明らかで、たとえば2017年1〜12月の総合ランキングでは、販売台数1位はトヨタ・プリウスでした。トップ10には大人気ミニバンだったトヨタ・ヴォクシー、日産セレナもランクイン。セダンのなかではトヨタ・クラウンが28位と、かろうじて30位以内を守っていたのです。

 しかし3年経過した2020年の1〜12月総合ランキングでは、上位を占めたモデルは前述のとおり、コンパクトカーだらけです。プリウスが12位、ヴォクシーが10位、セレナが11位と沈み、クラウンに至っては32位に後退。ついにセダンとしてのクラウンは生産終了のウワサまで出てしまいました。

 ミニバンではただ1台、ラグジュアリーLクラスミニバンのトヨタ・アルファードが5位と健闘していますが、これも法人需要がクラウンからアルファードにシフトしていることが理由のひとつにあります。そのほか、フリード、シエンタといったコンパクトミニバンはトップ10に入っており、SUVでもコンパクトクロスオーバーのライズが2位と、コンパクトサイズのモデルばかりが売れたことがわかります。

 その大きな理由として、これは推測の域を出ませんが、Mクラス以上のミニバンやセダンに乗っていたユーザーが、軽自動車の優秀な評判を聞いて乗り換えを検討した結果、「ちょっと物足りないかな」と判断した人たちがコンパクトクラスに流れたのではないか、ということです。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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