クルマの電動化で「従来の技術」は通用しない? 自動車整備士を取り巻く環境変化とは (1/2ページ)

一級整備士資格が新設されたことで対応可能に!

 自動車業界100年に一度の大変革期といわれている。そのおもな変革を示すのがCASEというアルファベットで「コネクテッド・オートノマス(自動運転)・シェアリング・エレクトリック(電動化)」という4つの要素に対応することは自動車メーカーにとって避けられない。しかも、どれも優先順位をつけられず、同時進行での変革が求められている。そうした厳しい環境において、生き残りをかけて各メーカーはアライアンスを組んだり、経営統合をしたりと自身の変化もいとわない状況になっている。

 変革を求められているのはメーカーだけではない。自動車に関わるすべての産業や労働者にとっても大変革の時期が訪れている。たとえば、自動車のメンテナンスやリペアに関するプロフェッショナルである整備士の未来はどうなってしまうのだろうか。とくに整備面でいうと「クルマの電動化」が進んでいくことが大きく影響すると感じてしまうだろう。

 電動化時代になると従来の整備士資格ではおいそれと触ることができなくなる……と思ってしまうかもしれない。とはいえ、すでに日本においてはハイブリッドカーが登場して四半世紀になろうとしている。クルマの電動化に対応するという課題はすでにクリアしてきているといえる。

 具体的には、「一級整備士」という資格が21世紀に入ってから新設されている。それまで四輪の整備資格としては二級ガソリン・二級ジーゼルといった区別だったが、一級整備士については大型・小型・二輪といった区別になり、いずれの一級整備士であっても二級整備士の知識・技能に加えて、以下7点の知識・技能が求められるようになった。

 (1)新技術関係(低公害車、電子技術等の新技術)の故障診断手法

 (2)改造に係る安全・環境上の評価手法

 (3)使用実態・使用環境等の把握による総合的故障診断及び整備計画の作成手法

 (4)整備に係る品質管理手法

 (5)リサイクルを考慮した整備手法

 (6)効率的な整備手法

 (7)整備に係る環境保全・安全管理等の知識

※出典:日本自動車整備振興会連合会ホームページより

 注目すべきは新技術に関する故障診断についてのスキルが求められる点で、最新の電動車や先進運転支援システム搭載車のトラブルシューティングに対応できるよう学ぶのが一級整備士になるためには必要といえる。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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モトブログを作ること
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