エクリプスクロスPHEV・キックス・C-HR・ヴェゼル!  2021年新春版「電動SUV」を徹底比較で「買い」を探る (2/2ページ)

価格にも結構な差がある!

 電動車の機能的優位性となるのが、車内外で家電品が使え、アウトドアや災害時に威力を発揮し、給電も可能なAC100V/1500Wコンセントの装備だろう。それが用意されるのは、エクリプスクロスPHEVのG/Pグレード(Mはセットオプション)とC-HR(44000円のオプション)という具合。キックスにはなく、おそらく、フィットe:HEVベースの新型ヴェゼルのe:HEVモデルにもないと予想できる。

 個人的に今、とても有用な機能だと感じ、ありがたく使わせてもらっているのが、一時停止、料金所などで便利なオートブレーキホールド機能。これは電子パーキングブレーキとセットになるのだが、今回取り上げた全車に搭載済み(フィット同様、新型ヴェゼルにもあるはず)。渋滞追従機能付きACC(アダプティブクルーズコントロール)も、これまた全車に用意されている(キックスはプロパイロット機能の一部として)。

 SUVはアウトドアに出かける機会も多い車種と言えるが、そこで気になるのがラゲッジスペースの寸法、荷物の積載能力だ。その点、後席使用時の寸法は、キックス:奥行900mm、幅970mm、高さ890mm、ヴェゼル(現行型):奥行790mm、幅1000mm、高さ830mm、エクリプスクロスPHEV:奥行855mm、幅1000mm、高さ740mm、C-HR:奥行760mm、幅950mm、高さ675mmと、バッテリーの積載量、クーペライクなデザインによって、広さに差が出ている。積載力の余裕では、キックスとヴェゼル(現行型基準予想)、その次にエクリプスクロスPHEVとなるだろう。

 ところで、ドライブ中の安心性能で見ると、今、話題のSOSコールやオペレーターサービスが気になるところ。その点、キックスは日産が軽自動車のデイズにも採用しているSOSコールのほか、日産コネクトナビの装備でオペレーターサービスを利用可能。C-HRもSOSコールと、トヨタT-コネクトナビの装備でオペレーターサービスが利用できる。ヴェゼルの新型は、フィット基準であるならば、SOSコールと、普段から使う可能性の高いトラブルサポートボタンのふたつが前席の頭上に付いてくると予想できる。なお、現時点でエクリプスクロスPHEVを含む三菱のクルマにSOSコールの用意はない。

 最後に価格だが、現行ヴェゼルのHVを含めた各車の電動グレードの価格は、エクリプスクロスPHEVを除いて270万円前後と横並び(駆動方式を考慮せず)。エクリプスクロスPHEVはさすがにそれより100万円以上高額になる約385万円スタート。電動車感の圧倒的な強さ、走破性の高さ、EV走行距離の長さ、そしてAC100V/1500Wコンセントによる安心にその差額の価値を見出せるか否かが、選択のポイントになるだろう。

 ちなみに、ブレーキを踏まずに回生ブレーキによって強い減速が可能なのは、セレナやノートなどのe-POWER車でもおなじみのワンペダル機能を持つキックス(停止までOK)と、アウトランダーPHEV同様の、回生レベルセレクターのパドルシフトを備えたエクリプスクロスPEHVである。選択の決定打にはならないと思えるが、ご参考まで。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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