ヤリスかフィットかノートなのか? 出そろった最新コンパクト3台のマルとバツ (1/3ページ)

フィットはファミリー層や愛犬家にうってつけのキャラクターだ

 今、国産コンパクトカーを購入しようとしている人にとって、まさに”買い”の時期だと思う。コンパクトカーに新たな価値を詰め込んだ、ハイブリッドコンパクトと呼べる、この時代の選択肢としてぴったりな電動の新型車が続々と登場し、ある意味、選び放題なのである。

 で、ホンダ・フィットのe:HEV、トヨタ・ヤリスのHV、日産ノートのe:POWERなどをまな板に上げ、価格はどうか、サイズはどうか、動力性能はどうか、装備はどうか、燃費性能はどうか……と、悩んでいるに違いない。

 しかし、そうした項目の比較以前に、忘れてはいけないことがある。それは各車のキャラクターだ。言い換えれば、どんな人に、どんな使い方に向いているか、ということ。

 そんな視点で各車を見ていくと、同じジャンルのハイブリッドコンパクトカーでも、それぞれの違いが明白になっていく。

 まずは、ホンダ・フィット。販売に以前ほどの勢いはないものの、極めて万人向けのコンパクトカーと言っていい。とくにファミリー層、愛犬家にはうってつけのキャラクターの持ち主だ。

 ポイントはまず、薄くほぼ水平のすっきりしたインパネデザイン、シンプル表示の大型TFT液晶メーター、視覚的の抜け感にも貢献する2本スポークステアリング、そして斜め前方視界をまったくジャマしない(その存在に気づきにくいほどの)極細Aピラーだ。実際に運転席に座ると、まさにクルマらしからぬ、ロマンスカー最前列のようなパノラマ視界。新鮮な運転感覚をもたらしてくれる。つまり、誰もが運転席に座った瞬間、運転のしやすさを実感できるのである。

 フィットは歴代、ホンダ独創のセンタータンクレイアウトによって、驚異的な広さの室内空間、シートアレンジ性を実現してきているが、新型でもそれは変わらない。後席居住空間の広さは圧巻で、身長172cmの筆者のドライビングポジション背後で、頭上に120mm、膝まわりになんと320mm!! ものスペースがある。

 この膝まわり空間は、コンパクトカーとして世界最大級で、最新の空間の広さが自慢のノートでさえ、同275mmなのである。また、後席をセンタータンクレイアウトの恩恵で、フロアに沈み込ませるように低く(地上600mm/ステーションワゴンのラゲッジフロアと同等)格納してラゲッジスペースを拡大すれば、リヤドアからの大きな荷物の出し入れはもちろん、犬の乗降も楽々可能になる。コンパクトカーのほとんどは、後席を格納することができるが、ここまで低いフラットフロアになるクルマはそうはない。

 また、めったに使わない、というか使わずに済ませたいSOSコールボタンとともに、日ごろから使えるトラブルサポートボタンもあわせて用意している点も、運転初心者や高齢ドライバーの大いなる安心になるはずである。

 さらに、フィットの場合、BASIC、HOME、NESS、CROSSTARという4種類のそれぞれに個性あるグレードが用意され、自身のセンスにぴったりの1台を選びやすい手助けになるだろう。よって、後席の居住性を重視する人にとって、あるいは運転のしやすさ最優先、大いなる安心を求める人にぴったりなのが、「心地よさ」をテーマに掲げるフィットということなるだろうか。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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