【試乗】雪道でのフォレスターの頼もしさは別格! ロングドライブで見えた「かゆいところに手が届く」クルマ作りとは (3/3ページ)

e-BOXERは必要なときに必要なトルクをもたらす!

 静粛性が高く、ロードノイズも極めて低く、強い加速をするとき意外は高速道路で風切り音が聞こえてくる程度。それも音楽などを聴いていたら意識のなかに入らないのではないかと思います。

 e-BOXERの走りは一瞬にして爆発的なトルクや速さを生む性質ではないけれど、エンジンとモーターアシストによる「今!」というときの瞬発力や必要に応じたトルクを引き出しやすい制御がストレスのない走行をさまざまなシーンで体感することができました。制御という意味ではリニアトロニック(無段階制御AT)も確実に洗練かつそのモデルにあったチューニングも上手になっている模様。すべり感をほとんど感じず、軽々と中味のあるトルクを伴って、フォレスターをしっかりと走らせてくれる。

 全領域で力強さを感じることができるなかでも3000〜4000rpmあたりの加速がめちゃくちゃ気持ちいい。加速にもさまざまな強弱があるけれど、踏み足しくらいの加速も優しくて頼もしいのが好印象でした。

 加えてe-BOXERを搭載するこのX-BREAKグレードはよりスポーティかつアクティブな走行が得られる「e-アクティブシフトコントロール」を装備。ステアリングにある“S/I”ドライブスイッチの”S”を選ぶと、コーナーの立ち上がりなどでモーターのアシストがより積極的に活かされるモードへと切り替わる。アクセルをちょっと踏み込んだだけでも出足が違う、クルマの動きにキビキビ感やアクティブさが増すのがわかるでしょう。そんな走行がこのミドルサイズSUVのフォレスターでも楽しめるようになりました。

 ちなみにフォレスターは昨年のマイナーチェンジで新型レヴォーグにも搭載されている新開発の1.8リッターターボエンジンを搭載するモデルもラインアップされています。私は常々搭載されるエンジンによってクルマのキャラが異なる印象を受けるのですが、以前に比較試乗をした際、この1.8リッターターボ+リニアトロニックは、フォレスターにより軽快感かつキビキビとした動力を与えられています。スポーティな走りの印象はこちらのほうが強いです。厚みのあるトルクを選ぶか、軽快感を選ぶかでエンジン選びをしてもよいかもしれません。

 マイナーチェンジを受けて、アイサイトにも新装備が加わり性能も強化。ただし新型レヴォーグのアイサイトXはまだこちらには未搭載となります。が、違いを意識せずにロングドライブを経て感じたのは、やはり新世代のアイサイトXのほうがカーブのサポート性も含めレーンキープの性能が優れているところが魅力的ではありました。

 とはいえこのフォレスターにもドライバーモニタリングシステムなどが新搭載され、これはドライバーの顔を認識でき安全運転をサポートするだけでなく、ドライバーの登録をしておけば「“この顔”のときはこのシートポジションやエアコン設定ね」など個別のおもてなし機能としても利用できる。全車速クルーズコントロールや車線逸脱抑制、先行車発進の合図など様々な機能によりロングドライブから街中を含め、予防安全/運転支援にぬかりはない。

 ステアリングホイールの握り(形状)がとても良く、時計に見立てて9時と3時のあたりの握りは丸ではなくてやや角のある楕円。裏側がへこんでいて、女性の手にも馴染むのではないかと、私は好感を抱きました。

 それから圧倒的に座る機会が長かった運転席ではシートのサポート感も印象に残っています。ゆったりとした室内空間にピッタリの私にとってはやや大きめに見えるシートでした。それが実際に座るとサイドサポートを使う以前に座面のお尻の両サイドがせり上がって左右を支えてくれるような感覚に。もともとサポート性能にも優れるシートではありましたが、座面の“面”でもお尻の左右を支えてくれる感覚は小柄な人にとってより有効だと思います。が、人間工学に基づき設計されたシートは正しいポジションをとって使わなければ意味がないので、ドラポジはしっかり取ってくださいね。

 前述のような状況下ではレヴォーグだって不安はなかった。ただし、よりイザという場面も想定をした頼もしさや、もう一歩、自然に踏み込んだクルマ選びをするならスバル車の最強はフォレスターだと思うのです。どうですか? フォレスターがすべらない理由、おわかりいただけたら幸いです。


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