使い勝手や走りは果たして? いま存在感を増す「輸入ミニバン」は国産モデルを超えたか (2/2ページ)

生活臭のないオシャレな世界を望むなら輸入ミニバン

 輸入ミニバンでむしろ注目したいのは、シトロエン・ベルランゴやプジョー・リフターといったMPVたちだ(本国ではルノー・カングーのように働くクルマとしても使われている)。3列シートではないものの、リヤスライドドアを備え、国産ミニバンではまずない天井の収納を含めたユーティリティの便利さに見どころがある。ラゲッジスペースも広大だ。5名乗車時でも奥行は1m以上あり、天井高も1mとたっぷり。背の高い荷物も余裕で積める。さらにすごいのは、後席を床下にすっきり収納したときの拡大ラゲッジの奥行で、なんと1.9mに迫るスペースが出現。車中泊にももってこいのユーティリティが確保されている。

 もっとも、走りはフランスの実用車らしく、おっとりしたもの(走りがより楽しいのはライバルと言えるルノー・カングーのほう)。しかし、それもまた、ベルランゴのキャラクター、スローライフを楽しみたい人に合っている。

 プジョー初のMPVとなるリフターもリヤスライドドアを持つ2列シートのミニバンだ。ガラスルーフで室内は明るく、頭上の収納も完備。ラゲッジルームは後席格納時を含めベルランゴと同様の広さがあり、まさにマルチに使えるキャラクターを持っている。ベルランゴに比べ、ディーゼルエンジンのトルクの豊かさが際立ち、比較的低重心のため、走りのゆとり、安定感はさすがフランス車、プジョーと言えるものだ。ベルランゴ同様に、バックドアのガラスハッチだけが開く使いやすさも、現在の国産ミニバンにない魅力と言える。

 ただ、フレンチMPVの両車ともに、車幅が1850-1860mmもあり、国産のMクラスボックス型ミニバン(全幅1700mm前後)やSクラスのコンパクトミニバン(全幅1695mm)にくらべて駐車などで気を使う場面もありそうだ。

 さらに、絶対的動力性能(アルファード&ヴェルファイアの3.5リッターV6は301馬力!!)、オデッセイアブソルートのようなスポーツ性能、先進運転支援機能(先進運転支援機能が充実しているVWなどのドイツ製ミニバンを除く)などでも、国産ミニバンがリードしている部分は少なくない。3列シートのミニバン限定なら、国産ミニバン。こうしたジャンルのクルマでも、生活臭のないオシャレな世界を望むなら輸入ミニバン、MPVになるということだろうか。ちなみに、4WDが選べるオールロード性能を持つミニバンが揃っているのは、デリカD:5に代表される国産ミニバンのほうだ。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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