キャプチャー・CX-30・2008・レネゲード! 最新「オシャレ系」小型SUV4台を徹底比較 (2/3ページ)

キャプチャーは2008とCX-30のいいとこ取り

 まずは4台のなかで、日本でいちばん売れているCX-30から。走り始めてすぐから、エンジンもボディも乗り心地もすべてがカッチリとバランスよく、路面の雑味をなるべくソフトに包んで乗員に伝えてくるところがすごいと感心。ハンドリングもクセがなく滑らかで、運転が上手くなったように感じさせてくれます。

 加速していく時のエンジン音が耳に心地よくて、どこまでも踏んでいきたいくらい伸びやか。ステアリングの握り心地も、本革がすべすべでずっと触っていたくなるし、シートは背中のちょうど骨盤の上あたりの絶妙なところにフィット感があって、自然と姿勢が伸びるような心地よさもあります。ブレーキングでは背中がまったくシートから離れない、姿勢変化の少なさもピカイチ。じわりと荷重移動していくコーナリングも安心感があります。

 弱点を挙げるとすれば、後方視界はリヤガラスの上下幅が狭く、ワイパーも飛び出して見えるのが残念。前方はボンネット両端は確認できますが、斜め前が左右ともに少し死角があるかなと感じました。

 次に、2008はCX-30とは対極と言えるような印象で、路面の凸凹、うねりを正直に伝えてきます。でもそれが不快ではなく、運転のエッセンスとして、ドライブを楽しく盛り上げてくれるようなところに脱帽。エンジンも元気いっぱいで、最近では珍しいくらいに「エンジンを回している!」という喜びを感じさせてくれるよう。なので、走っているうちにどんどん「もっといけるいける、行っちゃえ」みたいにドライバーをあおり、気持ちを高揚させてくれるようなワクワク感があります。

 小気味いいエンジンの吹き上がりといい、小さいハンドルと3D-iコクピットでちょっとゲーム感覚みたいなところといい、遊んでいる感じが一番強いのが2008。足さばきもしっかりしてるけどよく動き、カーブでは出口まですごく粘ってくれて、ここまでイケちゃうのか、と感心する感覚はコンパクトカーの208と同じです。

 続いてレネゲードは、スムースでかったるさはないですが、一見するとどこか古臭く感じる乗り味で、ハンドリングももっさり系。エンジンも決して元気いっぱいではないですが、よく回るのでだんだんスピードを出していくと、オンロード用の走りモードに入ってくるような感覚。コーナリングも不安定になることなく、なかなか楽しめます。でもいちばん重量感はあって、常に重いものを動かしている感覚で走っていました。

 また、ハンドルのガッシリ感が半端なく、指1本添えていればずっと真っ直ぐ走ってくれるようなスワリの良さ。でも低速では滑らかに操作できるので、Uターンや車庫入れが大変ということはないです。どことなく、ジープの昔のモデルから乗り換えても違和感がない、ラダーフレームの頃の乗り味を思い起こさせるような気もするほど。現代のクルマの電子制御感というか、自分じゃない誰かが運転しているような感覚が嫌いな人や、レトロな乗り味が好きな人にはぴったり。

 そして視界は、フロントガラスが四隅まで広くスクエアなので、ボンネットが先端まできっちり見えています。これは車両感覚が掴みやすく、安心感もすごくあるはず。後方もガラスが大きくてきっちり長方形なのですが、ルームミラーが小さくてその広い視界があまり感じられないのが残念なところです。

 そして最後にキャプチャーに乗ると、もうこれは2008とCX-30のいいとこ取り! ドライビングに必要な情報は素直に伝わってくるけれど、それが大味ではなく上品さを伴っていて、紳士なのにちょっとヤンチャというかユーモアを感じさせるところがあるのが魅力的です。乗り味も跳ねる感じまではいかず、コツコツとした振動や挙動などが不快感になる一歩手前、運転の楽しさに加味される程度に感じられるのが絶妙です。

 エンジンは、発進からひと踏み目はちょっと重く感じます。あざといくらいに軽快感を出すのではなく、上質さを感じさせる重厚感を残している感覚。その後の加速フィールもスカッと爽快というわけではないですが、しっかりパワフルでエレガントさもあります。

 ステアリングは太めのがっしりとした握り心地で、頼もしいのにレザーがソフトでしっとり。目の前のメーターはカラフルで、キャプチャーのイラストで後ろ姿が描かれていたり、どこかフレンドリーです。ただちょっと文字は多めで、ごちゃごちゃしていると感じてしまうかもしれません。

 初代より薄型にして、腕などが当たらないように操作性を重視したというシートは、薄型といってもライバルと同じくらいのクッション性はあり、路面のギャップでフカッと身体を包み込んでくれるよう。これはやはり、シートにこだわるルノーらしいところです。

 そしてコーナリングでは、進入でけっこう足が沈むと思いきや、ほどほどのところでガシッと抑えてくれるのがルノーっぽいと感心。ドイツ車ほどまでガチガチじゃなく、操る楽しさの幅を多めに残してくれてるのが、ほどよい楽しさを感じさせる秘密でしょうか。乗り心地はCX-30よりちょっと路面の荒さを拾う感覚もあるものの、そのほうがSUVっぽいなと実感しました。

 視界は前方はしっかりとボンネット両端が確認でき、車両感覚も掴みやすいです。後方視界はCX-30よりガラスの上下幅は大きめですが、ガラスの傾斜が強めでファストバックのような見え方。気になったのは、他車と比べるとブレーキペダルがやや足を浮かして踏むような高めの位置で、ちょっと足首の角度が急になるように感じました。

 とはいえ、新型キャプチャーは快適装備を含め、乗り味にも日本車っぽいところが感じられつつ、フランス車の良さも盛りだくさんに入っていて、これはすごく日本人の感覚に合うだろうなと実感したのでした。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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