いま日本でバカ売れの「ジープ」! なかでもタフっぷり全開の「ラングラー」ってどんなクルマ? (2/2ページ)

悪天候や災害に見舞われても安心できるタフさが魅力

 さらにエンジンは、いかにもアメ車というイメージのOHVエンジンではなく、3.6リッターのV6エンジンと2.4リッターの直4ターボエンジンの2タイプに、どちらも8速ATの組み合わせとなりましたが、やっぱりどこかおおらかというか、懐の大きな乗り味なのがラングラーの持ち味。

 17インチか18インチのタイヤからはしっかりと路面の状況が伝わってくるし、一般道だと少し遊びが多くてゆるい反応に感じるステアリングフィール、ストロークの長いサスペンションの動きは、悪路でも操りやすく衝撃をなるべく吸収し、たとえ1輪しか地面に接していなくても、脱出できるように考慮されたものです。

 4×4性能は、副変速機がついたオンデマンド方式で、ラングラー史上最高の走破性を実現。とくにUnlimited RUBICONには、スイッチを押すだけでリヤ/フロントまたはリヤのみをロックし、欲しいところに駆動力を集中できるトゥルロックという装備など、究極の4×4と呼ばれるロックトラックを搭載しています。

 これは4×4の性能だけでなく、川を渡ったり岩場を登ったり、想像を絶する地形を超えても、車体の底部にあるトランスミッションなど大事な部品に傷をつけないため、スキッドプレートなどの保護をしっかりやっていたり、世界一過酷と言われるトレイルでの耐久テストをクリアしたり、ジープならではの技術とノウハウの集大成がしっかり詰め込まれているからこそ。

 おそらく、日本中どこを探しても、このラングラーの性能を使い切る場面には遭遇できないだろうと言えるほどです。でも、「どこへでも行ける。なんでもできる。」をテーマとする頼もしさがあると思うだけで、人は心にゆとりができ、あくせくした毎日から抜け出して自由になれるのではないでしょうか。

 また、いかなる路面でも水平感覚が取りやすく、車両感覚が狂いにくいようにと、奥行きがなく切り立ったスクエアなフロントガラスからの視界は、街中でも想像以上に見切りがよく感じます。急な坂道でスピードが出過ぎないようにしてくれるヒルディセントコントロールは、ショッピングモールの立体駐車場でも安心だし、パークアシスタンスなどの駐車支援も付いているので、死角が確認しやすく思ったよりは車庫入れもしやすいのがラングラー。

 とはいえ、物理的に5m近い巨体なので、近所への買い物や送り迎えなどでは、ちょっと取り回しに苦労したり、こんなオフロード性能は宝の持ち腐れかな、と思うこともあると思います。でも万が一、出かけている間に豪雨になって道路が川のようになってしまったり、倒木や砂利などが立ちはだかったり、といった状況になっても、ジープなら生き残れます。守ってくれるのです。

 ラングラーに乗ることは、その安心感に包まれながら、やりたいことを諦めなくていい、行きたい場所に躊躇せず行ける、そういう勇気と自由を手にすることかもしれないですね。言ってみれば、現代人があらゆる制約から自分を解き放つために着るパワースーツ。つまらない毎日を変えたいな、と思っている人に、ラングラーはぴったりの相棒だと思います。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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