検査員の解任を含む重大処罰が下った! 5000台を超える「不正車検」が行われた背景とは (2/2ページ)

予防整備や今後のメンテスケジュールまで見てもらいたいところ

 もっとも運輸支局でユーザー車検を受けるときでも、検査ラインを通すだけなら30分前後しかかからないので、検査時間が短いこと自体は問題ないが、ディーラーなどに車検を依頼した場合は、保安基準をクリアしているかどうかより、ブレーキパッドやタイヤの残溝をはじめ、Vベルト、クーラント、ドライブシャフトブーツ、下回りのオイル漏れなどの消耗部品点検交換、劣化具合のチェックを行い、次回の車検までの予防整備や、今後のメンテナンススケジュールを立ててもらうのが重要なポイント。

 それがおろそかになるのなら、民間車検場に車検を出す意味がなくなってしまう。

 今回の不正車検の背景には、利益優先の過剰なノルマ、整備士の慢性的な人手不足と人件費の安さなどが絡んでいて、表沙汰にならない同様案件はおそらく全国各地であるはずだ。

 本来はクルマの点検・整備は使用者=ユーザー自身の義務なので、業者に任せっぱなしにするのも問題なのだが、それとは別に、車検整備をディーラーや整備工場に依頼する際に、「安い」「早い」を重視しすぎるユーザーの姿勢にも、不正車検の遠因はあるはず。

 抜本的にはもっとユーザー自身がクルマのメンテナンスに関心を持ち、しっかりした整備内容に適正価格を支払う姿勢にならないと、不正車検はあとを絶たないのではないだろうか。

 いいカーライフを送るには、やっぱりいい主治医との付き合いが欠かせない。そういう意味でも、車検に出すなら、「安さ」と「早さ」ではなく、良心的で腕の立つ工場を見つける努力を惜しまないようにしよう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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