新型レヴォーグがいま一番安全なクルマに選ばれた! 中島飛行機時代から受け継がれる「安全思想」と「最新技術」とは (1/3ページ)

スバルの安全性能にはいまなお中島飛行機のDNAが根強く

 2021年5月25日、スバル・レヴォーグがJNCAP「自動車安全性能2020ファイブスター大賞」を受賞したことが発表された。

 自動車アセスメント(JNCAP)とは、国土交通省と独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)が実施している、自動車の安全性能を比較しその評価を一般に公開するものだ。

 ファイブスター賞は、衝突安全性能と予防安全性能が最高ランクな上に事故自動緊急通報装置を搭載する車種に与えられ、そのなかでも最高得点を獲得した1台がファイブスター大賞となる。

 スバル・レヴォーグはなぜ大賞に選ばれたのだろうか?

 2021年5月24日にメディアに向けてオンラインで行われた「スバル・テックツアー」で、スバル車やレヴォーグの安全性能について、さまざまなお話を聞くことができたので、その内容を紹介したい。

 まず、常務執行役員CTO 技術本部長 兼 技術研究所長の藤貫哲郎さんより、スバル車の安全の歴史と安全の実績について解説された。

スバル車の安全の歴史

 時は1917年に中島知久平さんが飛行機研究所を創設した時代にまで遡る。スバルの安全思想の根底には航空機開発のDNAが根付いているという。

 万が一墜落したら命に関わる航空機の開発ではあらゆる非常事態を想定して設計する必要があり、基本構造のなかにさまざまな工夫が施される。またパイロットが全方位を直接見渡すことができる良好な視界の確保も、小型航空機に不可欠な性能のひとつだ。

 こうした安全思想はスバルのクルマづくりにも受け継がれ、スバルのクルマはいずれも安全性能を重視して開発されてきた。

 1958年に発売され、高度成長期のクルマの普及拡大に重要な役割を果たしたスバル360の時代から、スバルはあらゆる方向からの衝突に対して効果的に衝撃を吸収し、高い強度をもつキャビンで乗員を守る「全方位安全」の思想のもと、衝突安全ボディの開発に取り組んできた。

 当時は安全がまだクルマの価値として重要視されておらず、衝突試験用のダミー人形もなかったが、クルマのボディ構造や人体の影響について独自に研究を進め、試行錯誤しながら時代の一歩先をいく優れた衝突安全性能を追求してきたのだ。

 また「走る・曲がる・止まる」という基本性能はクルマの構造によって変わるというが、なかでも大きな影響を及ぼすのが重心の位置と駆動方式。

 重心が低いほどコーナーを安定して曲がることができ、四輪すべてにエンジンの力を使える駆動方式はつねに安定した走行性能が得られる。

 この視点のもと、スバルは1966年に水平対向エンジンを縦置きにしたFF車、スバル1000、1972年には四輪駆動車レオーネ4WDを発売。以来、これら独自技術に一層磨きをかけながら安定した走行性能を追求し続けている。

 さらに1989年に発売されたフラッグシップモデル、レガシィは同年1月、10万km連続走行の世界最速記録を更新するなど、安定した走行性能と耐久性を実証した。

 スバルが取り組んできた「走りを極めれば安全になる」のひとつの完成形といえるだろう。

 またこの頃、ステレオカメラを駆使した運転支援システムADAの開発をスタート。エアバックの搭載も検討され始め、電子システムを活用した安全技術開発に突入していった。

 1998年には新環状力骨ボディを採用した3代目レガシィを発売。この構造はいまのスバル車の乗員保護構造の基本となっている。

 1999年にはADAが商品化され、レガシィランカスターに搭載。

 2000年代になると、衝突安全分野では3代目インプレッサがJNCAPグランプリをスバル車で初めて受賞した。

 2016年には5代目インプレッサにスバルグローバルプラットフォームを初採用。フレーム構造の最適化、荷重伝達経路の多重化、高強度材の採用拡大などによって車体強度を飛躍的に高め、衝突時のエネルギー吸収率を従来に比べ、約40%向上させた。さらに国内メーカー初となる歩行者保護エアバックを採用し、歩行者保護性能を飛躍的に高めている。

 予防安全分野では、2008年に運転支援システム「アイサイト」を商品化し、レガシィに搭載。2010年には「アイサイトver.2」に進化し、搭載車種を大幅に拡大した。2014年には「アイサイトver.3」をレヴォーグに搭載し、2017年にはツーリングアシストとして進化。全車速域追従機能付きクルーズコントロールと組み合わせることで高速道路でのアクセル・ブレーキ・ステアリングのアシストを実現した。

スバルの安全の実績について

 安全のために独自の開発を進めた「アイサイトver.2」によって、日本国内でのスバル車の事故発生率は大きく減少した。非搭載車に比べて搭載車は、追突事故発生率が84%。歩行者事故発生率は49%も下がったのだ。

 さらに「アイサイトver.3」では搭載車の追突事故発生率が0.06%となった。

 また第三者機関によっても安全性能は評価されてきた。歴代のスバル車の多くが日本のみならず、世界各国で高い評価を得ている。

 近年では日本のJNCAPで発売中のフォレスター、インプレッサ、XVがファイブスター賞、ASV3+を獲得、米国道路安全保険協会IIHSの評価では2021年モデルが9つの賞を獲得している。


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