新型レヴォーグがいま一番安全なクルマに選ばれた! 中島飛行機時代から受け継がれる「安全思想」と「最新技術」とは (2/3ページ)

アイサイトXだけじゃない! レヴォーグの安全を支える技術

レヴォーグの総合安全

 続いて、商品企画本部 プロジェクトゼネラルマネージャーの五島賢さんより、レヴォーグの総合安全について語られた。

 今回ファイブスター大賞を受賞したレヴォーグは、レガシィから始まるスバルのグランドツーリング思想、「より遠くまで、より早く、より快適に、より安全に」、またスバルの大いなる遺産であるレガシィツーリングワゴンの血統を受け継ぐ、日本のためのクルマ(2009年の5代目レガシィのサイズが北米市場を考慮して大きくなったため、日本でスバルのスポーツワゴンを望む人のために2014年にデビュー、2020年に2代目が発売)である。

 そんな2代目レヴォーグ開発にはふたつの狙いがあったという。

 ひとつ目は「継承」。人を中心としたクルマ作り、グランドツーリング思想、安心と愉しさといったスバルらしい価値をしっかりと継承すること。

 ふたつ目は「超・革新」。商品のカギとなる先進安全やスポーティな走りの価値を、期待を超えるレベルに高めることだ。

 スバルの総合安全は0次安全、走行安全、衝突安全、予防安全、そして日本では2020年に「つながる安全」が加わった。これらをレヴォーグは先進の技術で実現している。

レヴォーグの0次安全

 ドア部の三角窓などにより、優れた直接視界を確保。また高精細なフロント・サイド・リヤの「デジタルマルチビューモニター」、後席に乗車しても走行中の後方視界を確保する「スマートリヤビューミラー」によって死角を補助する。また情報を瞬時に伝え、直感的に操作できる「デジタルコクピット」や、ヘッドライトを緻密にコントロールし、対向車両に眩しい思いをさせることなく夜間の視界を確保する「アレイ式アダプティブドライビングビーム」、骨盤をしっかり支え、背筋を伸ばすことでロングドライブでも疲れにくいシートなども採用している。

レヴォーグの走行安全

 スバル伝統のAWDであるアクティブトルクスプリットAWDに加え、2代目レヴォーグのSTI SportグレードにはAWDスポーツモードを採用。アクセルオフから後輪への伝達トルクを保持することで、コーナリング時のコントロール性や、悪路での脱出性を高めている。危険回避性能についても優れたボディとシャシー構造で、トップクラスを実現。

 またグランドツーリングカーとして高速安全性を高める技術のひとつとして車両後方の乱流を引き剥がす、「エアアウトレット」をスバル車で初採用。「VDC」や「アクティブ・トルク・ベクタリング」も搭載している。

レヴォーグの予防安全技術

 予防安全技術の代表はもちろん全車標準装備の「アイサイト」と、どのグレードでも選択でき、新型レヴォーグ購入者の93%が選んでいる、「アイサイトX」だ。

「アイサイト」はステレオカメラに加え、カメラの視界の外の物体を捉える前側方レーダー、回避すべき物体を認識後に素早くクルマを停止させる電動ブレーキブースターなどを標準装備して衝突回避シーンを拡大。自車右折時の対向車、自車右左折時の対歩行者、横断自転車などに対応している。

 新機能としては、ブレーキでは回避できず、車線内にスペースがあると判断した場合、ステアリング制御で回避を図る「プリクラッシュステアリングアシスト」、隣車線の車両を認識している状態で車線をはみ出しそうになった場合ステアリングをアシストして車線逸脱を防止する「エマージェンシーレーンキープアシスト」、前側方レーダーで前側方からの接近車両を検知した場合、警報とブレーキアシストを行う「前側方プリクラッシュブレーキ」、「前側方警戒アシスト」が追加となっている。

「アイサイトX」は3D高精度地図ユニット、12.3インチ フル液晶メーター、「ドライバーモニタリングシステム」、「ステアリングタッチセンサー」を追加搭載し、アイサイトカメラに加え、衛星からの位置情報を制御に加える。これにより実現した機能はカーブ前、料金所前の「速度制御」、「アクティブレーンチェンジアシスト」、「渋滞時ハンズオフアシスト」、「渋滞時発進アシスト」、「ドライバー異常時対応システム」だ。

レヴォーグのつながる安全

 スバル国内初の「STARLINK」を採用。じつにレヴォーグ購入者の94%が選択しているという。エアバックが作動するような衝突事故が発生した場合、自動的にコールセンターにつながる「先進事故自動通報」、急な体調不良など運転が困難な場合にSOSボタンを押すとコールセンターにつながる「スバルSOSコール」、車両故障など突然のトラブル時に青いiボタンを押すとコールセンターに接続する「スバルiコール安心ホットライン」などのサービスが利用可能だ。

事故調査でわかったこと、取り組み

 そして衝突安全については、車両安全開発部 部長 兼 車両研究実験第三部 部長 兼 スバル研究実験センター 担当部長の古川寿也さんより説明された。

 2030年に死亡事故をゼロにするという目標を実現するために、スバルは実際に起きた死亡事故の調査を行なっている。

 おもに米国と日本のデータを調査しており、とくに販売台数も事故件数も多い米国では、公開されているFARSデータ(Fatallity Analysis Reporting System)で全体の傾向を把握するとともに、スバル車の近年の死亡事故については、全件のシチュエーションや、要因を調査。

 またミシガン大学と共同で、いくつかの実際の実例について、どのような事故の際に被害を受けた人のどの部位が、どのように受傷していたかなどを詳細に調査しているという。

 これらによって、死亡事故の防止方法を検討し、死亡事故ゼロに向けた対応のロードマップを作成。順次車両に反映しているそうだ。

 米国での直近5年間の死亡事故件数の車両を見ると、スバル車は米国主要ブランド平均の約半分。しかし米国主要ブランド平均と同様、スバル車も近年事故発生件数は減っていない。スバル車が起こした死亡事故の内訳を見ると、車両相互の事故がもっとも多く、次いで対歩行者・自転車となっている。2019年の死亡事故の件数は約100件だ。

 近年の事故の内容を細かく見ていくと、車両単独や前突は減少しているが、側突による死亡事故の件数が増加している。側突事故の増加の理由は、相手のクルマの重量が増えていることだとわかった。米国では近年SUVなどのライトトラックが急激に増加しているためだ。側突事故の相手車両の平均重量を見ると2014年が1801kgだったのに対し、2019年は2004kgとなっている。

 また事故において運転手要因がある事故は、そのほとんどが何らかの見落としや飲酒などの一時的な能力低下によるものだった。

 日本についての調査結果では、100万台あたりの死亡事故発生件数は右肩下がりに減っていることがわかっている。2019年にスバル車が起こした死亡事故は3件だった。

 また日本では事故による死亡者はスバル車に限らず全メーカーで、歩行者・自転車の割合が6割以上を占めている。

 歩行者がどこで致命的な傷害を負っているかを調査すると(スバル車だけでは数が少ないため全メーカー車で集計)、傷害部位は頭部がもっとも多い。さらに頭部がどこにぶつかったかを見ていくとピラー周辺やカウルなど、フロントガラスの周辺が圧倒的に多いことがわかる。これは、フードは柔らかくできているため、ぶつかっても重傷にならないが、ピラーなど硬い部分に当たると致命傷になることが多いからだ。

 クルマに乗っている乗員の傷害部位を見ると、10年前は頭部がもっとも多かったが、エアバックなどの対策が進み、いまは胸部がもっとも多くなっている。高齢者は肋骨が弱いため、高齢化が進んでいるのも原因だと考えられる。

 またJAFのシートベルト着用率を見ると、日本では後部座席の着用率が低く、高速道路で76%、一般道ではたった40%だそうだ。シートベルトをしていないと致死率は高層道路では約9.2倍、一般道では約3.5倍に跳ね上がる。


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