これぞ日本の「カワイイ文化」! 360cc時代の「キュートすぎる」軽自動車4台にいま乗れる? (1/2ページ)

いま新たに購入して所有するのは結構な覚悟が必要

 2020年度の乗用車・新車販売は約386万台だった。その内訳を見てみると登録車は約250万台で、軽自動車は136万台。商用車を除いたとしても3台に1台以上は軽自動車となっている。

 さらに累計での保有台数ベースでみると、2020年度の全保有台数 約7832万台に対して、軽自動車は約3118万台(うち軽乗用車は約2274万台)だ。つまり日本において軽自動車比率は40%に迫っている。

 1998年に現在の軽自動車規格に改正されて以来、軽自動車は660ccという限られた排気量で、4名乗車という制限を受けながら、ファーストカーとして使える存在になってきたことが軽自動車シェアの拡大につながっている。

 それはともかく、日本で軽自動車の存在感がグッと増したのは1950~1960年代だ。それまで乗用車を個人で持つなどと考えていなかった日本人が、マイカーという言葉を覚えたのは各メーカーが魅力的な軽自動車をリリースしてきたという背景がある。

 そんな時代の軽自動車は、いまから見ると華奢なボディに、総排気量360cc以下の小さなエンジン(ほとんどが2気筒の空冷だった)を積んでいた。当時としては理想のマイカー、国民車のあるべき姿と感じられた軽乗用車は“いま”どうなっているのだろうか。

 もっと具体的にいえば、360cc時代の軽自動車を所有すること、購入することは可能なのだろうか。答えはイエスであり、ノーでもある。

 まず購入については、クルマ探しの段階でハードルが高く、さらに良コンディションの状態に保つには一筋縄ではいかない。それでも360cc時代の軽自動車に日々乗っているオーナーがいないわけではなく、日常使いが不可能ということはない。ただし、パワステ・パワーウインドウはもちろん、エアコンも備わっていない時代のクルマゆえに日常使いをするのには少々覚悟が必要だろう。

1)スバル360

 そうした360時代の軽自動車において、もっとも身近というか手頃というか、とにかく初めての360軽自動車としてハードルが低いモデルはSUBARU360だ。

 1958年に生まれたSUBARU360は、現在のSUBARUの原点といえるモデルであり、軽さと強度をバランスさせるためにラウンドしたモノコックボディを与えられた合理的な設計の軽自動車だ。エンジンは2サイクルの空冷2気筒エンジンをリヤに搭載、後輪を駆動するRRレイアウトとなっていた。

 1970年までの長期に渡り生産されたSUBARU360は、この時代のクルマとしては中古車が流通しているほうで、検索すれば二けた台数を見つけることができる。ただし、コンディションやグレードを選べるほどではなく、どうしても欲しいのであれば見つけたら買うくらいの気持ちでいなければ手に入れることは難しい。相場としてはスターティングプライスとしては100万円、レストアの程度によっては200万円の声を聞くこともあるだろう。

2)ホンダN360

 ホンダが四輪車事業においてシェアを広げるきっかけになったのも360cc時代の軽自動車で、そのモデルこそ「N360」である。現在のN-ONEがモチーフとしたことでN360を知ったというファンも少なくないかもしれない。

 そんなN360のデビューは1967年で、エンジンは空冷4サイクル2気筒エンジンをフロントに積んだFFレイアウトとなっていた。2サイクル全盛時代にピークパワーでは不利と思われた4サイクルでライバルを蹴散らすパワーを実現したのもホンダらしいホットハッチ的な一面もあるクルマだったのだ。そのインパクトにより「ユーザーユニオン事件」と総称される恐喝事件に巻き込まれることになってしまい、4年程度で生産が終了してしまった。

 とはいえ、当時日本でもっとも売れた軽乗用車となったN360だけに中古車を検索すれば見つけられなくはないが、やはりグレードや程度を選べるような乗用ではなく、価格帯的にも100万円オーバーといった相場になっている。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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