注目されない影の努力に脱帽! 最新安全装備「じゃない」安全性がすごいクルマ3台 (1/2ページ)

安全装備がなくても発想とアイデアで安全性は高められる

 クルマの環境性能とともに、日々、進化しているのが安全性だ。人が乗るクルマにとって、どちらももっとも重要な商品性と言えるのである。ここでは、エアバッグや先進運転支援機能といった装備面以外で安全性を向上させた技術を投入したクルマを紹介したい。

1)ホンダ・フィット

 まず、比較的新しいところでは、2020年に登場した4代目ホンダ・フィットである。

 もちろん、基本骨格やホンダセンシングによる安全性も素晴らしいのだが、注目すべきはボディ、その独創的な極細A(フロント)ピラーだったりする。フィットの前席に座り、前を見ると、まるでロマンスカーの最前列席のようなパノラミックな視界が広がる。斜め前方の視界もまったく妨げない新構造のフロントピラーなのである。フィット3のAピラーが116mm径だったものが、なんと55mm径まで細くなっている。

 目的は視界の向上、それがもたらす居住感の心地よさにあるのだが、こんなに細くて大丈夫? という意見もあるはずだ。クルマによってはAピラーの太さが安心感、安全性につながっているのに、である。

 じつは、4代目フィットの極細Aピラーは、衝突荷重を受けない構造なのである。では、どこが、衝突荷重を受けるのかと言えば、Aピラーの手前(後ろ側)にある、仮称、Aダッシュピラーが、これまでのAピラーの役割を担い、衝突荷重を頼もしく受け持つのである。車内側からも、安心感ある太さを備えていることが分かるだろう。つまり、視界と衝突安全性の構造部分を、あえて分けたという独創の発想なのである。

 結果、フロント視界がフィット3の69度から90度へと広がり、パノラマ視界、車内の広々感はもちろん、右左折時やカーブでの対向車などの視認性(安全性)も高まったというわけで、いいことづくめ、Aピラーが細くても大丈夫!! なのである。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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