【試乗】アルテオンに美しすぎるシューティングブレーク追加! 進化したパサートと2台一気乗り (1/2ページ)

ドライバーの意図を若干上まわるディーゼルの特性が最高!

 華がないのが個性のはずのVWだが、ハッキリ言えば最近はお洒落である。正当派のパサートもそうだし、もちろんアルテオンは最初からスタイリッシュクーペとして華々しくデビューした。

 その2モデルがフェイスリフトを受けると同時に、アルテオンにはシューティングブレークが誕生。日本的にはデザイン・コンシャス・ワゴンで、個人的にはVW”シロッコ”のルーフラインとウインドグラフィックスが蘇るスポーティハッチバックの印象である。

 前後フェイスリフトは、フロントグリルのデザインや配色とライトまわり、デイライトの配光など。リヤは新たな書体のVWエンブレムの下にモデル名が配置されて、新型ゴルフも含めてVWすべてのモデルが統一される。そこはVWエンブレムも含めて画像で確認して頂きたい……。

 試乗はまず、マイナーチェンジしたパサート・セダン。4グレードあるうちの最上位、パサートTDI Elegance Advanceに乗る。

 本国ドイツを含む欧州で減少傾向にあるディーゼルエンジンを、VWグループは日本に導入している。個人的にハイブリッドでなければディーゼルを好むたちだが、それはゼロ発進加速がストレスなく軽快に盛り上がる力強さと、燃料満タンでの脚の長さ、航続距離の伸びと燃料コストも、ガソリンとの差が少なくなったとはいえ、やはり魅力だ。

 いかにもドイツ流に整然とした室内に入る。シートの硬い座り心地、床に足を着いた時の硬さと張りの強さ、ドアを閉めた時の気密性など、国民のための大衆車というより、ここまで質感が高いともはやプレミアムクラスの印象が強い。

 走りはレールにハマったかのような直進性。ステア操作の動きに正確だが軽快に動くコーナリング。速度を足の裏で抑え込む感覚のブレーキングは、ペダルを抜く動作、減速Gを滑らかに消すまで正確に車速をコントロールできる。と、どれをとっても操作に対して自然な手応え”足応え”として伝わる点が素晴らしい。

 アクセルを軽く踏む、加速が始まると同時に低回転からモリモリと400N・mのディーゼルターボ特有の力強いトルクで盛り上がる2リッターTDIは、大柄なボディをコンパクトカー並に軽快に引っ張る。

 6速から多段化して7速になったDSGはツインクラッチ式。まるでトルコンのようなスムースな発進と変速と瞬時に適確なギヤ選びが嬉しい。アクセルを深く踏み込まなくても必要な時に期待値を”若干上まわる”!! 動力性能を得られることは、ひとの感性として「素直」と感じられるものだ。

 この軽快で急激に盛り上がる加速Gは、回転すると同時に最大トルクを発生するEVの加速フィールにも似ている。が、無音のモーター加速に対して、ディーゼルは3000rpm付近の燃焼音の盛り上がりがやや耳障り。ただそこを越えると滑らかで整った静かなサウンドに変化しつつ4500rpmで回転リミットを向かえるエンジンとしてのトルクとパワーの関係が、モーターにはない躍動感として心地いい。実用は2〜3000rpmも回せば十分過ぎる性能が引出せる。

 室内空間の広がりといい、トランクは幅も奥行きも驚きの広さである事も含めて、正統派セダンとしての基本、ひとつの指針がパサートである。今回はセダンとワゴンであるバリアントのボディバリエーションだが、ヴァリアントをベースに車高を高めてSUV感覚にした4WD(2リッターTDIのみ)、オールトラックも用意。

 エンジンは2リッターディーゼルのほか、従来の1.4リッターTSIに代わって新世代の4気筒ターボ、1.5リッターTSIが搭載された。ソレに乗るべきかと迷ったが、試乗予定のアルテオンが2リッター直4ガソリンなので同じ2リッターのディーゼルが比較しやすいだろう、と言う意味で2リッターTDIを選んだ。


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