いまどき流行の「ワンペダルドライブ」! 結構違う「トヨタ快適ペダル」「日産e-Pedal」「ホンダ・シングルペダル」の3つを比較した (2/2ページ)

ワンペダル機能の減速感は好き嫌いが分かれる

 ワンペダル機能を日産の次に採用したのは2020年10月に発売されたホンダのシティコミューターピュアEVのホンダeである。それは「シングルペダルコントロール」と呼ばれ、アクセルペダルの操作により加減速の調整や停車、停車状態の保持を行うシステムであることは日産などと同じだが、ステアリング奥にある左右のセレクター(+-)で、ステアリングから手を放さずに減速度の強さを3段階で変更できるのが特徴だ。つまり、ホンダらしく、回生による減速度を、パドルシフトによるシフトダウン/シフトアップ、同様に、走りにも積極的に使えるようにしているというわけだ。

 また、新型ノートe-POWERのワンペダル機能には、停止機能がつかなくなった(減速のみ)のだが、ホンダeのシングルペダルコントロールはアクセルペダルの操作によって加減速の調整はもちろん、停車、停車状態の保持まで行ってくれる。具体的には、アクセルペダルを緩めると、ブレーキペダル操作なしで停車まで減速し、停車したあとは自動的に停車状態を保持。アクセルペダルを踏むと停車保持機能が解除し発進……という流れになり、10分以上停車保持した場合は、電動パーキングブレーキが自動で作動する。現在設定している減速段数がメーターパネル内の表示で確認できるのも使いやすいポイントだろう。

 話を新型アクアに搭載された「快適ペダル」に戻せば、ワンペダル機能は、ドライブモードの「POWER+モード」のみで作動。アクセル操作のみで加減速ができる制御が盛り込まれているのは当然だが、新型ノート同様に、完全停止はしない。まだ未試乗なので、「快適ペダル」の減速感については言及できないが、おそらく、低速域を含めたスムースな減速感が得られるように制御されているはずである。完全停止まで行わないのは、最後の停止は、あくまでドライバーの操作に委ねる、ということではないだろうか。レーダークルーズコントロールが全車速追従&停止保持機能を持っていることから、できないことはないのに、である。

 こうして、トヨタの新型アクア、日産のリーフやノートなどのe-POWER、ホンダeのワンペダル機能を見ていくと、完全停止まで持っていけるのは日産リーフのe-Pedalとホンダeのシングルペダルコントロール。自動的にワンペダル機能が働くのは日産車(ドライブモードのデフォルトのECOモードにて)。ステアリングのパドルシフトで減速度を3段階にコントロールできるのはホンダeのシングルペダルコントロール。新型アクアの「快適ペダル」は力強い加速が得られるPOWER+モードでのみで、ブレーキペダル操作なしの自然な減速が可能ということで、それぞれに機能差、個性がある。

 いずれにしても、いわゆるワンペダル機能、その減速感は、ドライバーによって好き嫌いがあるから、実際に試乗し、低速、中速、高速域で試してみるのが一番だ。もちろん、日産車ならドライブモードのNOMALモードを選べばワンペダル機能は作動しないし(デフォルトのECOモードからの切り替えは必要)、新型アクアはドライブモードをPOWER+モードにセットしなければ「快適ペダル」は機能しない。つまりデフォルトは普通に走れる「快適ペダル」ではない。

 ホンダeにしても、シングルペダルコントロールスイッチで機能のON/OFFが可能だから、ワンペダル機能が”今は”なじめなくても、だからそのクルマを選ばない……という理由にはならないだろう。いずれにしても、安全性にも直結し、高齢者ドライバーのアシスト(ブレーキを踏む回数が減り、ペダルの踏み替え時も安心安全)にもなる機能だから、クルマ選びの選択ポイントのひとつとして挙げるのも悪くない。

 ちなみに、アクセルペダル操作だけで完全停止までできる先代ノートe-POWERの中古車を狙うなら、ECO/NOMALモードでアクセルオフしたときの減速感の体験、チェックは不可欠。けっこう”クセ”のある減速感(度)ですから……。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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