苦境のスポーツカーで50年以上の長寿という偉業! 日産フェアレディZが存続できる秘訣とは (2/2ページ)

他の乗用車と部品を共有して生き残る現代のスポーツカー事情

 フェアレディZは、初代から米国での販売を重視して、室内の広さや身長のある人でも操作しやすい運転席の作り込みをしてきた。それが販売台数の見込みを成り立たせ、商売になるスポーツカーの地位を維持でき、歴史をつなぐことにつながっている。

 スポーツカーに限らず、米国人はクーペが好きだ。たとえば、フォード・マスタングやシボレー・カマロが今日なお存続している。それらもフェアレディZと同じように、フルラインメーカーがほかの乗用車とエンジンや部品を共用しながら、運転を楽しめ、外観の格好もいいという商品価値によって、売れるクーペとして販売台数を確保し、存続させている。

 しかも米国では、SUV(スポーツ多目的車)やミニバン、かつてはステーションワゴンといった機能や実用性を重視する車種の販売がもちろん多いが、クルマなしでは移動の自由が得にくく、またクルマに乗っていることで身の安全も守れる風土でもあり、ひとりで乗る格好いいクルマの需要は途絶えないのである。

 米国での新型フェアレディZ発表では、初代からの所有者がそれぞれに喜びを語り、所有することの誇りを語った。単に次の新車が継続されるだけでなく、歴代の所有者が愛し、所有し続けられるクルマであるからこそ、フェアレディZは語り継がれる偉大なスポーツカーの一台となっているのだ。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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