スズキ・ワゴンRとは? スティングレー・スマイルなど派生モデルも人気の車種をご紹介 (2/2ページ)

現行モデルはNAエンジンのみでハイブリッドが選択可

■現行版の詳細スペックをおさらい

基本スペック

 6代目のワゴンRのボディサイズは以下のとおりだ。

全長×全幅×全高:3395mm×1475mm×1650mm
ホイールベース:2460mm
タイヤサイズ:155/65R14

 以下グレード別のスペックを紹介しよう

●FA(2WD)
車両重量:730kg(5速MT)/750kg(CVT)
エンジンタイプ:直3DOHC
総排気量:657cc
最高出力:36kW[49PS]/6500rpm
最大トルク:58N・m[5.9kg-m]/5000rpm
WLTCモード燃費:24.8km/L(5速MT)/24.4km/L(CVT)
サスペンション形式:ストラット(前)/トーションビーム(後)
車両本体価格:109万8900円(5速MT)/116万3800円(CVT)

●FA(4WD)
車両重量:780kg(5速MT)/800kg(CVT)
エンジンタイプ:直3DOHC
総排気量:657cc
最高出力:36kW[49PS]/6500rpm
最大トルク:58N・m[5.9kg-m]/5000rpm
WLTCモード燃費:23.0km/L(5速MT)/23.2km/L(CVT)
サスペンション形式:ストラット(前)/I.L.T(後)
車両本体価格:122万2100円(5速MT)/128万9200円(CVT)

●HYBRID FX(2WD)
車両重量:770kg
エンジンタイプ:直3DOHC
総排気量:657cc
最高出力:36kW[49PS]/6500rpm
最大トルク:58N・m[5.9kg-m]/5000rpm
モーター最高出力:1.9kW[2.6PS]/1500rpm
モーター最大トルク:40N・m[4.1kg-m]/100rpm
WLTCモード燃費:25.2km/L
サスペンション形式:ストラット(前)/トーションビーム(後)
車両本体価格:128万400円

●HYBRID FX(4WD)
車両重量:820kg
エンジンタイプ:直3DOHC
総排気量:657cc
最高出力:36kW[49PS]/6500rpm
最大トルク:58N・m[5.9kg-m]/5000rpm
モーター最高出力:1.9kW[2.6PS]/1500rpm
モーター最大トルク:40N・m[4.1kg-m]/100rpm
WLTCモード燃費:24.2km/L
サスペンション形式:ストラット(前)/I.L.T(後)
車両本体価格:140万3600円

●HYBRID FZ(2WD)
車両重量:790kg
エンジンタイプ:直3DOHC
総排気量:657cc
最高出力:36kW[49PS]/6500rpm
最大トルク:58N・m[5.9kg-m]/5000rpm
モーター最高出力:1.9kW[2.6PS]/1500rpm
モーター最大トルク:40N・m[4.1kg-m]/100rpm
WLTCモード燃費:25.2km/L
サスペンション形式:ストラット(前)/トーションビーム(後)
車両本体価格:142万1200円

●HYBRID FZ(4WD)
車両重量:840kg
エンジンタイプ:直3DOHC
総排気量:657cc
最高出力:36kW[49PS]/6500rpm
最大トルク:58N・m[5.9kg-m]/5000rpm
モーター最高出力:1.9kW[2.6PS]/1500rpm
モーター最大トルク:40N・m[4.1kg-m]/100rpm
WLTCモード燃費:24.2km/L
サスペンション形式:ストラット(前)/I.L.T(後)
車両本体価格:154万4400円

特徴① 安全機能が充実

 ワゴンRの特徴は安全装備の充実である。そもそものボディに軽量衝撃吸収ボディーのTECTを採用しており、また歩行者傷害軽減ボディ−、頭部衝撃軽減構造インテリア、前席のSRSエアバッグが標準装備されている。

 加えてスズキ・セーフティサポートと呼ばれる以下の装備が、5速MT車を除く全グレードで選択できる。

・デュアルセンサーブレーキサポート
・誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能
・ふらつき警報機能
・先行車発進お知らせ機能
・ハイビームアシスト
・後退時ブレーキサポート
・リヤパーキングセンサー

特徴② ハイブリッドで高い燃費性能

 6代目ワゴンRで初の設定となったハイブリッドシステムは、モーター機能付きの発電機であるISGを使い、エンジンの燃費効率が厳しい発進時に、モーターによるクリープ走行を可能としている。また、ストロングハイブリッドのようなアシスト感こそないものの、時速100km以下の速度域でモーターがアシストすることで、燃費を向上している。加えて、赤信号等で減速した際、時速13lm以下であればエンジンを停止してクリープ走行を行うこともできるのだ。結果的に前述のスペックのような省燃費を達成した。

特徴③ 快適装備の充実

 ワゴンRには日常の使い勝手を快適にするさまざまな装備を採用している。いくつか紹介しよう。

アンブレラホルダー:左右リヤドアの内側に、付いた雨水を車外に排水可能なアンブレラホルダーを設けた。

ヘッドアップディスプレイ:軽自動車初採用となる同装備には、前方衝突警報/自動ブレーキ作動状況、車線逸脱警報、車速、シフトポジション、凍結警告、クルーズコントロール設定、交差点案内などが表示できる。

レーンチェンジウインカー:ウインカーレバーを軽く押さえるとターンランプが3回点滅するシステムをスズキの軽自動車で初採用した。

■モデルチェンジはいつ?

 国産車の多くは5年から6年のモデルサイクルでフルモデルチェンジを行うのが一般的だ。一部10年前後となる長寿車も存在するが、実用車に近く販売台数が多い車種にはライバル車が多いために、5〜6年程度でフルモデルチェンジを実施しないと競争力を保てないという事情がある。

 ワゴンRの歴史をみると、1〜5代目はそのサイクルで変更されている。そうなると、2021年の秋現在、7代目となる新型ワゴンRのアナウンスはないため、フルモデルチェンジは2022年に実施されるのではないかと言いたいところだが、気になるのは5代目までと事情が異なる点だ。

 先に振り返った歴代ワゴンRを見てもわかるとおり、近年のスズキの軽自動車を支えてきたモデルであり、販売台数が非常に多かったため、フルモデルチェンジのサイクルを短く保てたという側面がある。ところがいまは、軽自動車の人気ジャンルに変化が生じている。2021年年度上半期の販売台数ランキングを見てみよう。

1位 ホンダN-BOX:90453
2位 スズキ・スペーシア:58144
3位 ダイハツ・タント:47933
4位 ダイハツ・ムーヴ:45916
5位 スズキ・ハスラー:39978
6位 日産ルークス:34993
7位 ダイハツ・ミラ:29980
8位 ダイハツ・タフト:28553
9位 スズキ・アルト:28382
10位 スズキ・ワゴンR:26933
11位 ホンダN-WGN:22414
12位 日産デイズ:21299
13 位 三菱eK:15738
14位 スズキ・ジムニー:14554
15位 ホンダN-ONE:10390

 となっている。これは通称名のため、たとえばスティングレーはワゴンRに含まれるし、三菱のeKもシリーズでの数字だ。こうしてみると、スライドドアのいわゆるスーパーハイト系が人気であり、またスズキ・ハスラーやダイハツ・タフトなどのSUVも売れていることがわかる。こういった流れから、あくまで推測だが、もう少しワゴンRのフルモデルチェンジが伸びてもおかしくはないだろう。

 また、カーボンニュートラルが叫ばれる昨今、軽自動車とはいえ、マイルドハイブリッド以上の電動化が求められている現状である。次のモデルチェンジはドラスティックな変更を考慮して、現行モデルを売れるところまで売るという考えになってもおかしくないだろう。

■派生モデル スマイル・スティングレーとは?

①ワゴンRスマイルとは?

モデルの歴史

 ワゴンRスマイルは、2021年9月に登場したばかりの、ワゴンRの名を冠した派生車である。

通常モデルとの違い

 最大の特徴はワゴンRがヒンジのスイングドアであるのに対し、リヤドアにスライドドアを採用したところだ。このため、ワゴンRの標準モデルに対して、全高が45mm高められている。

 スズキにはすでにスペーシアというスーパーハイト系の軽自動車がラインアップされているが、こちらは1785mmとかなり背高となるため、スライドドアの利便性と、スタイリッシュさをバランスしたモデルという狙いがある。

 エクステリアのデザインは、スクエアなボディと丸目のヘッドライトで、シャープなワゴンRに対して愛着の湧く親しみやすい雰囲気。ボディカラーにはモノトーンカラー4色のほか、2トーンカラー8色を用意して、好みに合わせてオシャレなカーライフが楽しめる。さらに純正アクセサリーの組み合わせで、ブリティッシュスタイル、エレガントスタイル、モダンスタイル、カリフォルニアスタイルという、4つのスタリングが提案されている点も、オシャレさをウリにしたモデルであることを伺わせる。

 先ほどボディの全高がワゴンRより高まったと述べたが、それを活かして室内高はワゴンRよりも65mm拡大し、開放的な空間を実現した。

 グレードは純エンジンモデルのG、ハイブリッドのHYBRID S、HYBRID Xの3つで、それぞれにFFと4WDがラインアップされる。

②ワゴンRスティングレーとは?

モデルの歴史

 ワゴンRスティングレーが誕生したのは2007年。2003年に登場した3代目ワゴンRの新シリーズという位置づけで、モデル途中で加わった。どちらかというと親しみの持てるデザインであったワゴンRに対して、いまでいうオラオラ系の雰囲気を纏ったエクステリアと、黒を基調としたクールなインテリアという世界感をもったクルマである。

 その後2008年に4代目へとモデルチェンジするが、スティングレーも同時にフルモデルチェンジを実施し、以降は現行の6代目に至るまでベースのワゴンRと同時に新型が登場し続けている。

通常モデルとの違い

 上記のとおり、ベースモデルのワゴンRに対して、4代目、5代目、そして現行の6代目とも攻撃的でイカついデザインを採用しており、とくに若年層や男性オーナーが好むような雰囲気が特徴だ。

 さらに5代目からはスティングレーが、走り系グレードとしての役割も担うようになり、5代目は通常モデルのワゴンRがNAエンジン、ワゴンRスティングレーにはNAとターボをラインアップするようになった。

 現行6代目ではハイブリッドと名の付くグレードが登場したが、2021年秋現在、ワゴンRはNAエンジン車とNAエンジン+モーターのハイブリッド車、ワゴンRスティングレーは、NAエンジン+モーターのハイブリッド車と、ターボエンジン+ハイブリッド車が設定されている。

 このスティングレーのターボのみ、クルーズコントロール、パドルシフト、15インチタイヤ(その他のワゴンR、ワゴンRスティングレーは14インチ)などが装備されているのだ。

■記事まとめ

 スズキの大ヒット作であるワゴンR。ライバル車を多数登場させ、軽自動車市場に大きな影響を与えたモデルである。ただ、上に記した販売ランキングのとおり最近では、スズキでいうところのスペーシアのように、スーパーハイト系の軽自動車が圧倒的な人気を誇り、とくにホンダN-BOXは凄まじいばかりの売れ行きを見せている。そうしたなか、2021年の10月単月の販売ランキングでは、突如ワゴンRが首位に躍り出た。これはシリーズでの数字となるため、スティングレーはもとより、新登場のスマイルがけん引した形である。ワゴンRは時代に即した形でモデルチェンジや派生車を登場させ、今後もその名を轟かせていくだろう。


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