歴代すべてが成功! ついに4代目が登場するミニバンの金字塔ノア&ヴォクシーをまるっと振り返り (1/2ページ)

この記事をまとめると

■商用車「タウンエース」をベースとしたミニバンとして「タウンエースノア」が生まれた

■初代モデルは20年も前のクルマになるが、今でも古臭さはあまり感じない

■2022年1月に登場したモデルで4代目となる

Mクラスミニバンの金字塔「ノア&ヴォクシー」を振り返る

 間もなく4代目に進化する国産Mクラスボックス型ミニバンの代表格の1台、2021年末でも乗用車販売ランキングミニバン部門で上位につけているのがトヨタ・ノア&ヴォクシー(ヴォクシーはMクラスボックス型ミニバン最上位)。劇的進化を遂げた新型の登場ということで、今回は改めてノア&ヴォクシーの歴史を振り返ってみたい。

 ノア&ヴォクシーが登場したのは、意外にも現在のMクラスボックス型ミニバン3大モデルのホンダ・ステップワゴン(1996年~)、FF化された日産セレナ(1999年~)より後の2001年である。当時はステップワゴンやオデッセイが牽引したミニバンブームの真っ盛り。トヨタとしてもFRレイアウトのタウンエースノアとは違うFFプラットフォームを用いた、より乗車車感覚のミニバンが不可欠と考えたに違いない。

 タウンエースノアの後継車として登場したノア&ヴォクシーは、イプサム(初代オデッセイのようなスイングドアのミニバン)のFF低床プラットフォームを用いた5ナンバーボディに両側スライドドア、センターメーターを備えていたのが特徴だ。エンジンは2リッターガソリンのみ(タウンエースノアにはディーゼルエンジンがあった)。

 ミッションは初代の場合、4速AT、後期型はCVTを採用していた。乗車定員は8/7/5名で、当時から2列目ベンチシート&キャプテンシート、そして2列シート仕様が用意されていたのである。

 こう言っては何だが、初代ノア&ヴォクシーは20年も前のクルマにして、きれいに乗っていてドレスアップしているような車両だと、今でも決して古臭く見えないのも本当だ。それぐらい、ミニバンらしく完成されたスタイリングだったと言っていい。

 2007年に登場した2代目ノア&ヴォクシーはズバリ、トヨタの目論見通りのヒット作となった初代のキープコンセプトモデルとして進化。プラットフォーム、センターメーターなども初代から引き継がれている。

 2代目の大きな特徴は、バルブマチックと呼ばれる燃費や動力性能に優れた新エンジンをノアのSi、ヴォクシーのZSグレードに搭載したこと。そのグレードは、エアロパーツの装着で全幅が1720mmとなり、3ナンバー登録となっている(取りまわし性は5ナンバーモデルと変わらず)。

 パドルシフト、世界初と言われる3列目席ワンタッチ跳ね上げ方式のスペースアップシートが採用されたのもこの2代目からである。2010年6月には現在のGRモデルに準じるG’s(G SPORT)バージョンも登場。専用のタイヤ&ホイール、ブレーキ、ローダウンサスペンション、アルミペダル、フロントグリル&フードモールなどを備えていた。筆者は発売前に開発陣にインタビューし、山道を模したテストコースでその走りを体験したが、ボディ剛性の高さ、スポーティカーに匹敵する操縦安定性に驚かされたものだ。

 2代目ノア&ヴォクシーを当時の筆者の試乗記では、こう記している。

「143馬力エンジン+CVT、15インチタイヤを組み合わせる標準車の走りは、トヨタの狙い通りのファミリーユーザー、とくに子育て世代のママズカーにぴったりの穏やかな動力性能、操縦性、良路での快適かつしっかり感ある乗り心地、そして先代にくらべ圧倒的に高まった静粛性が特徴だ。加速性能は2~4名乗車なら必用十分。速度を上げていけば、先代より遥かに伸びやかでスムースな加速力を披露する。重心そのものは先代と全高が同じながら、足まわりの改良でカーブや山道でのグラリとする挙動変化とは無縁。高速域になればパワステはズシリと重みを増し、安心感たっぷりのクルージング、レーンチェンジをこなしてくれるのだ」

「一方、158馬力を発生するバルブマチックユニットと7速シーケンシャルシフト付きCVT、16インチタイヤ、エアロパーツで武装するヴォクシーZS、ノアSiの走りは、パワステの操舵力こそ明らかに重目になるものの、乗り心地は専用サスや車重増の影響もあってよりしっとり上質でフラット。とくに段差越えでのショックのいなし方のうまさは標準車以上。シートクッションのダンピングの良さも、そうした乗り味の好印象に貢献しているはずである。燃費にも優れたバルブマチックユニットは出足からリミットに至る滑らかな加速フィールを発揮。CVTの制御の良さもあって日常域でのアクセルコントロールのしやすさと高回転域の伸びやかさを両立。エンジンを高回転まで引っ張ったとしてもノイズは耳障りじゃないから好感が持てる」

「もちろん、操縦性も標準車をリード。重心の高いミニバンとは思えないステアリングの効きと回頭性の良さ、前後左右の姿勢変化の少なさ、飛ばすほどにしなやかになり、ジワリと踏ん張ってくれる安定感に満ちたフットワークは、低重心自慢のステップワゴンに迫るほど。山道、高速道路を含め、一段と安定感、安心感あるドライブが楽しめるはずだ。よって、お薦めグレードは装備、燃費面でも魅力あるZS、Siとなる」


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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