無意味な区分けが邪魔をして大きくできない! 日本の小型車がさいなまれる「5ナンバーの呪縛」 (2/2ページ)

グローバルで販売されるモデルのボディワイド化は必須

 別に単にゴージャスに見せるために3ナンバーサイズ化しているわけではない。衝突安全基準などを満たすのに必要なボディ設計をすると、全幅は1700mm以上あったほうがいいということでワイド化しているのである。それなのに、スズキ・スイフトはスイフトスポーツを除けば、国内仕様だけ5ナンバーサイズとなっているし、カローラセダンとツーリングは、3ナンバーボディには変わりはないのだが、日本仕様はグローバルボディに比べるとナローボディになっている。

 たかが50mm程度の全幅アップで何が変わるのかという話もあるかもしれないが、クルマの世界での50mm差というのはかなり大きい。仮に全幅が拡大すれば、走行安定性が高まり、より安全運転も可能となり、疲労も少なくなる。ボディサイズアップによるメリットも大きいはずであるし、日本のコンパクトカーが海外でいまひとつ精彩を欠くのは、「5ナンバーという呪縛」のようなものが邪魔しているように見えてならない。

 今回、ノア&ヴォクシーやステップワゴンがモデルチェンジにより、本格3ナンバーサイズ化するのは、日本だけでなく海外市場も重視してのものと考えている。

 欧州ではスライドドアを採用する背の高い、ボックス型ミニバン(とくにアジア的押し出しの強い顔つきを持つモデル)はなかなか受け入れられないし、ミニバン発祥国ともされるアメリカでは、いまやミニバンは生活臭が強すぎるとして敬遠されがちとなっている。

 しかし、東南アジアや中国など、アジアをメインとした新興国やロシアなどでは人気が高いので(一部地域では、一部車種が正規販売されているが、日本から中古車として輸出されるほど人気が高い)、より本格的に世界で販売していくためもあり、3ナンバーサイズを採用する流れは自然なものともいえるのである。

 そもそも小型車の規格改正から、50年以上そのまま放置されているのもおかしい。規格改正したくないというならば、以前の韓国のようにナンバープレートサイズの変更(欧州規格の横長なものなど)も含め抜本的に改めれば、新車販売市場への良い刺激(新しいサイズのナンバープレートのついた新車に乗りたいと、ある意味特需が起きる)になるだろう。それでも、消費者メリットを考えると、5ナンバー車規格改正のほうが、筆者としては「イチ押し」と考えている。

 とにかく、このまま5ナンバーと3ナンバーの区分を形骸化させていくのは、何かもったいない気がしてならない。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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