北京オリンピックのウェアも手がける「ミズノ」がどうして「自動車イベント」に? 意外と知らないクルマ業界との親和性【大阪オートメッセ2022】 (2/2ページ)

プロスニカーはプロ用ではなくプロテクティブスニーカー

 たとえば「プロスニーカー」は、「プロ用のスニーカー」ではなく、JSAA規格に基づく「プロテクティブスニーカー」で、従来でいうJIS規格の安全靴のS種とL種、つまりスタンダードとライト用途の要件を満たす。要は安全靴だと、鉄や革を用いるべしといったルールなので、ミズノが求める機能性を持たせるには限界がある。つま先ガードも樹脂製を用いるからこそ軽く、アッパーもメッシュ素材だからこそムレない、といった具合だ。超重作業と重作業の2用途を除いた、「オルタナ安全靴」だと思えばいい。

 オールマイティ用途のモデルの他にも、静電気を逃がすタイプ、防塵タイプ、足裏の感覚を伝えるタイプや、脱ぎ履きの簡単さにこだわったタイプなど、専門性の高いモデルが用意されている。いずれのワークスニーカーも、アスリート用のスニーカーで見慣れた鮮やか発色に、スニーカーらしからぬぽってりトゥが新鮮だ。加えてもち上げてみると、驚くほど軽い。

 実際、ミズノが得意とする機能性素材や造り込みは、ワークウェアにも活かされている。直近の寒い季節なら、ストレッチ素材でも防風フィルムを挟むことで防風性を確保した「テックシールド」や、吸湿発熱素材の「ブレスサーモ」など、寒い中でも作業や移動時の快適性を守るためのワークジャケットが、各種揃う。

 パターン設計自体も、腕を上げたときに脇まわりがつっぱったりしないが、下ろすと上に畳まれたり。あるいは暑い季節に有効なファンクーラー付きのエアリージャケットも、首から上に、あるいは腕からも熱を抜きやすい構造になっている。

 それこそアスリートがトレーニングや試合で着たりするスポーツウェアと、同じく身体を動かして働くワークウェアの両者が、じつは遠くなかったことにはたと気づかされる。クルマは見るだけでけっこう楽しめるが、ウェアや靴は手にとって身に着けてみるとかなりのことが実感できるので、ミズノ・ブースに足を運んで、自分の目でジャッジしてみて欲しい。

「ちょいダサ」狙い的なあざとさゼロの、真剣勝負の清々しさが感じられるはずだ。


南陽一浩 NANYO KAZUHIRO

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