欧州主導の「急激なクルマの電動化」にほころび! エンジンがまだまだ重要になる可能性が見えた (2/2ページ)

有鉛ガソリンが全廃されたのも2021年のこと

 今回の欧州の動きを“ほころび”と見れば、環境性能や燃費性能に優れた内燃機関の需要というものはまだまだ地球レベルでは期待できるのである。

 そんなことを考えている時に、日本メーカーの最新PHEVに相次いで試乗する機会に恵まれた。印象としては、HEVのラインアップが豊富な日本車だけあり、欧州のPHEVに比べると、「よくできているなあ」という印象を強く受けた。蓄電した電気を使い果たした時でも、回生エネルギーで少しでも蓄電できると、内燃機関での走行からモーターでの走行にきめ細かく切り替わる様子には目を見張った。

 ゼロエミッション車の急速な普及が難しいとしても、では純粋な内燃機関車で、というわけにはいかないだろうから、HEVやPHEVの普及が世界的に進むことになるだろう。

 ゼロエミッション車では世界的な出遅れイメージがぬぐえない日本車だが、HEVは日本メーカーのお家芸であるし、PHEVでも進んでいる。“災い転じて”ではないが、日本メーカーがゼロエミッション車で出遅れていたのは、本当に時流に乗り遅れたのではなく、ゼロエミッション車にほころびが出る事態を予測して“HEVやPHEVに勝機がくる”と、“鳴くまで待とうホトトギス”戦略をとっていた、というのはさすがに考えすぎだろうか。

 後進国の新車需要というものは見逃せないので、そういった意味ではより効率が良く、環境への配慮や燃費性能に優れる、純粋な内燃機関の開発を続けていくことも重要となるだろう。

 人体に有害であり、大気汚染の原因として影響が大きかった有鉛ガソリンだが、世界から全廃されたのは、21世紀となった2021年、つまりつい最近のこと。車両のゼロエミッションの普及促進も世界レベルで見れば、有鉛ガソリンの全廃ほどではないが、ある程度は時間を要することになるだろう。どの道、世界レベルではゼロエミッション車との共存がしばらく続くことになるので、優れた内燃機関の持続的開発や、コストも含めたHEVやPHEVのさらなる性能のブラッシュアップというものが大切なものとなってくることになるだろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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