ゲームが自動車メーカーを本気にさせた! グランツーリスモ内「オリジナルマシン」の単なる夢想じゃない中身 (2/2ページ)

最新作の「ビジョングランツーリスモ」はポルシェのEVスポーツ

2017 マクラーレン

 2017年9月にマクラーレンカーズから発表された「マクラーレン アルティメット ビジョングランツーリスモ」は、明確に2030年以降の量産スポーツカーを見据えて開発したと宣言されていた。その開発にはグランツーリスモシリーズのプロデューサーである山内一典氏も関わったというが、ドライバーがうつ伏せで乗り込むというコンセプトからして斬新で、ドライビングシミュレーターとリアルのコラボを感じさせた。

 後輪を駆動するのは4リッターV8ツインターボ、前輪はモーター駆動のハイブリッドスポーツカーで、システム最高出力は1150馬力という。しかもボディは軽量高強度なカーボン製で1000kgしかない。はたして、うつ伏せの状態でその加速を味わうとどんな気持ちになるのだろうか……。

 これほどのパワーを御するためにはエアロダイナミクスも無視できない。基本となるダウンフォースはボディ全体で生み出しつつ、コーナリング時にはエアインレットのカバーを開くことで、さらに曲がるためのダウンフォースを稼ぐというアイディアが盛り込まれている。こうした部分が、2030年のリアルにつながると思うと、楽しみになってくる。

2019 ランボルギーニ

 ビジョングランツーリスモはデータだけにとどまらない。アウトモビリ・ランボルギーニが2019年11月に発表した「ランボルギーニV12 ビジョン グランツーリスモ」は、グランツーリスモチャンピオンシップ・ワールドファイナルの会場にフルスケールモデルを持ち込み、リアルとバーチャルが密接につながった世界であることを示した。

 いかにもランボルギーニらしい多角形の面を用いたスタイリングをよく見れば、コクピットはキャノピー型のシングルシーター。メーターらしきものはなく、車両情報はバーチャル的に表示されるというのも、未来的だ。

 ちなみに、パワートレインはランボルギーニ・シアンFPK37譲りのスーパーキャパシタ+V12エンジンのハイブリッド。スタイリングにおける次世代スーパースポーツの提案といえそうだ。

2021 ポルシェ

 このように過去に登場してきたビジョングランツーリスモの各モデルは、それぞれの時代におけるグランツーリスモシリーズで走らせることができたが、いよいよグランツーリスモ7をターゲットに2021年12月に生まれたのが「ポルシェ ビジョングランツーリスモ」だ。

 ポルシェとしては初めて手掛けたというバーチャルコンセプトカーが生まれるのには、2017年以降グランツーリスモシリーズにポルシェが正式に収録されるようになったことも関係しているのはファンならばご存知のとおりだが、いずれにしてもグランツーリスモという仮想世界に向けて自由な発想で生み出されたのが、このピュアスポーツカーだ。

 ポルシェファンでなくとも、スタイリングに「タイカン」のモチーフを感じるだろうが、まさしく、このビジョングランツーリスモは電気自動車なのである。はたしてポルシェが考える電気スポーツカーが、どんなフィーリングを感じさせてくれ、どんなサウンドを奏でるのか。グランツーリスモで走らせることが楽しみというファンも少なくないはずだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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モトブログを作ること
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