もう少し派手にアナウンスしてやってくれ! 2021年「知らないウチに」消滅していた悲しいクルマたち (2/2ページ)

ホンダが続々と生産終了を発表した年となった

 縮小する日本市場において、危機的状況なのは5ナンバーセダンだけではない。かつて市場のど真ん中にいた5ナンバーミニバンも消滅の危機に瀕している。なにしろ2021年12月にはトヨタ・エスクァイアが生産終了となったのだ。

 ご存知のようにエスクァイアは、ノア/ヴォクシーというミニバンの兄弟モデルで、装備を充実させたハイソ仕様という位置づけだった。そんなエスクァイアは、ノア/ヴォクシーがフルモデルチェンジによって3ナンバーボディに成長していくなか、ひっそりと消え行くモデルとなってしまった。

 また、再びセダンの危機を示したのがホンダのフラッグシップセダン「レジェンド」の生産終了だ。2021年3月に世界初の量産・自動運転レベル3技術を含む「ホンダセンシングエリート」搭載車を100台限定で発売するなど、技術面でもフラッグシップとして存在感を示していたレジェンドは、2022年1月に生産終了となっている。

 自動運転テクノロジーだけでなく、3モーターハイブリッド「スポーツハイブリッドSH-AWD」による異次元のハンドリングなど、ホンダの技術ショーケースといえるレジェンドが、フルモデルチェンジすることなく消滅してしまったのは非常に残念だが、こうして生産終了になることで、名前のとおりに「伝説」的モデルになったといえるのかもしれない。

 そして、冒頭でも触れたように、2022年3月にはホンダS660が生産終了となった。S660のファイナルエディションといえるモデューロXバージョンZは、すでに2月の段階で生産を終え、3月は最後にオーダーの入ったカタログモデルを製造しているという。

 いずれにしても、S660の生産終了によってアクティ、ビート、バモス、S660とホンダの軽ミッドシップカーを生み出してきたファクトリーは何を作ることになるのだろうか。現時点では軽商用N-VANの生産を担うことになっているが、はたしてそれだけで生産キャパを有効利用できるのかどうかは疑問もある。

 生産終了ということでS660の直接的な後継モデルは存在していないわけだが、S660のモチーフとなった電動スポーツカー「EV-STER」をホンダオートボディーで製造するといった話があっても不思議ではない時代ではある。ゼロエミッション化に進むホンダが、電動スポーツカーとして軽2シーターを復活させることに期待したい。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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