アリアにソルテラに輸入車も! SUVのEVが日本で続々発売されるなかプロが選んだ買いの「1位」とは (2/2ページ)

1回の充電で走行できる距離を重視するならスバル・ソルテラ

 注目度の2位はスバル・ソルテラだ。グレードは3種類を設定するが、注目度が高いのはET-SS・2WDになる。価格は594万円だから、補助金を差し引いても509万円で、アリアB6・2WDに比べると55万円高い。

 スバル・ソルテラ2WDは、リチウムイオン電池容量が71.4kWhで、アリアB6・2WDの66kWhに比べて余裕がある。1回の充電で走行可能な距離は567kmで、アリアB6・2WDの470kmに比べると約100km上まわる。

 その一方で、モーターの最高出力は150kW、最大トルクは266Nmだから、動力性能は大人しい。乗り心地の重厚感もアリアが勝る。これらを総合的に判断するとアリアが買い得だが、1回の充電で走行できる距離を重視する場合は、ソルテラを選ぶ余地もある。

 なおソルテラの姉妹車となるトヨタbZ4Xは、リースのKINTOのみで扱う。電気自動車は、リチウムイオン電池の劣化で航続可能距離が短くなる傾向があり、先代リーフは売却時の金額が大幅に下がった。「電気自動車はリセールバリューが悪い」という風評が生まれ、bZ4Xは通常の販売を避けている。リースなら、ユーザーが売却時に損失を被る心配がないからだ。

 これは一種の自衛手段だが、KINTOは使用上の制約が多い。車内での喫煙、ペットの同乗などは行えない。走行距離も制限される。アルミホイールを汎用品に交換した時も、元の状態に戻して返却せねばならない。

 つまりペットを同乗させ、長距離ドライブに出かける機会の多いユーザーなどは、KINTOには馴染まない。

 KINTOは月々の限られた使用料金で新車を使うため、一見すると負担が軽いようだが、常に多額の債務を抱える。定額制サービスは、携帯電話で普及した経緯もあって若年層に人気が高いが、クルマは高額商品だ。そこにリスクがある。

 従って日本で購入可能なSUVスタイルの電気自動車は、1位がアリアで、2位はソルテラだ。ほかにも輸入車を含めて設定されるが、価格の割安感も考慮すると推奨できない。現状では「電気自動車が売れない」のは当たり前だ。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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