5年ローンでの残価率は衝撃の29%! アルファードに20%も差をつけられたクラウンの落ち込み (2/2ページ)

次期モデルは厳しい船出となりそうだ

 たとえば、前述したクラウンとアルファードで残価率が10%前後の差があったケースでも、下取り査定を行うと、国内市場だけでなく海外への中古車輸出でも抜群の人気を誇るアルファードのほうが、当該車の状態がよほど悪くない限りは、設定残価をはるかに凌ぐ下取り査定額が期待できる。クラウンにはそこまでの“伸びしろ”は期待できないのが現状となっている。

 現行クラウンは2018年6月にデビューしている。2018事業年度(2018年4月から2019年3月)の年間販売台数は5万8548台、2021事業年度(2021年4月から2022年3月)の年間販売台数が1万9589台なので、2018年度比で2021年度は33%まで販売台数を落としている。コロナ禍となり新車販売台数全体が落ち込んでいるが、登録車全体で見ると2018年度比で2021年度は約80%となっているので、クラウンの落ち込みはコロナ禍となりハイヤーやタクシーといったフリート販売が落ち込んだことを考慮しても目立っているといわざるをえない。

 クラウンのような高額車両では、とくにドイツ系高級車でもその傾向は強いのだが、“値落ちしにくいクルマ”という視点でクルマ選びをする富裕層も多くいると聞く。その意味では、メルセデスベンツやBMWに比べてリセールバリューが低ければ、クラウンからドイツ系高級ブランド車に乗り換える人も目立つだろうし、クラウンへの乗り換えを検討していても、アルファードのほうが“投機対象”として見れば、はるかに魅力的に映るのは自然の流れ。

 現行クラウンがデビュー時から、いまのような残価率になっていることはなかっただろうが、その兆候は出ていたと記憶している。公私ともに日々投資して富を得ている富裕層から見れば、兆候は敏感に感じ取れるはずである。

 まもなくFFとなった次期型クラウンがデビューする。昨今の社会状況を反映し、すでに“発売はするが、生産開始やデリバリー時期は未定になっているようだ”といった話も聞いている。SUVやメルセデスベンツのオールテレインのようなモデルも登場するなど、さまざまな情報が飛び交ってきた。それだけクラウンというネームバリューはまだまだ高いものを持っているが、マイナーチェンジも行うことなく次期型へバトンタッチすることもあり、現行モデルの不人気イメージを継承しながら(長い歴史のなかにはいままでも不調だったといわれるモデルは意外にある)、そしてクルマ以外でもなかなか思うようにモノが生産できない現状も加わり、厳しい船出となりそうだ。それでもFRからFFとなりイメージチェンジして“大化け”するのか、次期型に注目が集まっている。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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