レースが再び走る実験室に! 富士24hレースでメーカーの威信をかけた「次世代車」の闘いが繰り広げられた (2/2ページ)

マツダはバイオディーゼル燃料を使用したマツダ2を投入

 一方、このGR 86 CNF conceptにガチンコの戦いを挑んだのが、スバルのカーボンニュートラル燃料車「BRZ CNF concept」で、Team SDA Engineeringの61号車として24時間レースに初登場。こちらは水平対向の2400ccエンジンを搭載したベーシックなマシンだが、ドライバーの顔ぶれは井口卓人/山内英輝/廣田光一/鎌田卓麻/吉田寿博と豪華なラインアップとなっていた。

 前述のとおり、GR 86 CNF conceptの1400ccターボに対してBRZ CNF conceptは2400cc自然吸気とエンジンスペックは異なるが、ターボ係数をかけると同クラスになるほか、CNFも同じ燃料を使用したことから、まさにGR86とBRZのカーボンニュートラル燃料モデルの一騎打ちが注目されていたが、GR 86 CNF conceptと同様にBRZ CNF conceptもまた予想外のアクシデントに苦戦を強いられていた。

 まず、予選でエンジントラブルに祟られたことで、BRZ CNF conceptは最後尾からのスタートを強いられたほか、決勝もレース中盤でミッショントラブルに祟られるなど、新型車両にありがちなマイナートラブルが続出した。それでもBRZ CNF conceptは粘りの走りで624周を重ね、ST-Qクラス3位で完走を果たした。

 またST-Qクラスにはマツダもバイオディーゼル燃料を使用したマツダ2を投入しており、MAZDA SPIRIT RACINGの55号車として「MAZDA 2 Bio concept」がエントリー。寺川和紘/井尻薫/関豊/前田育男/加藤哲也/手塚祐弥というラインアップで24時間レースに参戦していた。

 このマツダ2はユーグレナ社のサステオという国産のバイオディーゼル燃料が使用され、1800ccディーゼルターボのタービンを使用するなどパワーアップが図られていたが、レース中盤でミッショントラブルが発生。なんとかマシンを修復してレースへ復帰するものの、チェッカーまで残り1時間という時にマシンがストップ。487周でリタイヤすることとなった。

 このように各メーカーの次世代モデルは明暗が別れることとなったが、水素にカーボンニュートラル燃料、バイオディーゼル燃料とアプローチはさまざまで興味深い。まさにスーパー耐久のST-Qクラスは“走る実験室”で、近未来のスポーツカーの走りを楽しめるユニークな舞台となっている。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

愛車
スバル・フォレスター
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登山
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