溝はある新しいタイヤなのにグリップが下がる! 「タイヤがタレる」ってどういう現象? (2/2ページ)

柔らかいタイヤは熱に弱く固いタイヤはグリップが低くなる

 ちなみにゴムの沸点はおよそ120℃。タイヤを作る際には、天然ゴム以外に、合成ゴム、シリカ、カーボン等々の、さまざまな添加剤を配合して、高温(低温にも)になっても性能を発揮出来るよう工夫されているが、それでも熱が入りすぎると性能低下は避けられない。こうした熱の影響によるタイヤの性能劣化のことをサーマルデグラデーションという。

 また、高いグリップを得ようとして、柔らかいゴム(コンパウンド)を使うと、温まりがいい代わりに、熱によるタイヤのタレ(サーマルデグラデーション)も早いし、摩耗も早くなる。摩耗が進むとタイヤの性能もダウンするので、これもタイヤのタレに輪をかける。

 反対に、固いゴムを使ったタイヤだと、耐摩耗性もよく、熱にも強いかもしれないが、その分「喰わない」、つまりグリップ力の低いタイヤになってしまうので、旨味は少ない。

 レースの世界では、ライバルよりソフトなタイヤを履いて、ハイペースで走り、なおかつそのタイヤを長持ちさせることができるタイヤマネージメントの上手なドライバーほど”強い”ドライバーで、車体側もタイヤへ依存度が低く、タイヤのタレが少ないのがいいマシン、いいセッティングの条件になる。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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