電気自動車の急速充電は公衆トイレみたいなもの!? 自宅で用を足してから出かけるのが基本だった! (2/2ページ)

EVの普及には普通充電器の充実と乗る側の意識改革が必要

 しかし、まず優先すべきは200V(ボルト)による普通充電の充実で、それこそがEV利用の基本となる。出発時点で、自宅や勤務先などで普通充電により満充電近くにしておき、その先、もし長距離移動をする場合に電力が足りなくなりそうであれば、急速充電で補充する。これが、EVの正しい利用の仕方だ。

 ところが、課題がふたつある。ひとつは、充電をガソリンスタンドでの給油の代わりと考える人がまだ多いことだ。そこで、EVは自宅での充電が基本であることを周知しなければならない。

 次に、国内においては、マンションなど集合住宅に普通充電を設置することが、ごく一部を除いてできない状況がある。管理組合などによって、充電設備の設置が否定されてしまうからだ。これも、充電はガソリンスタンドのように急速充電器ですればいいとの間違った解釈があるためといえる。

 かつて、電力会社のEV担当者が、「急速充電機とは公衆トイレのようなものだ」とたとえた。外出の際、人はまずは家で用を足しておき、出先でもよおしたときのために公衆トイレはある。同じように、EVも、まず自宅で満充電にしておき、万一のために急速充電器があると考えるべきだ。

 この発想が浸透しない限り、EVの充電に関する課題は解決しないだろう。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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