【試乗】新型フェアレディZは期待以上の完成度! FRを満喫できるバカッ速スポーツカーだ (1/2ページ)

この記事をまとめると

■新型フェアレディZにテストコースで試乗

■バージョンSTのAT車とバージョンSのMTを試した

■405馬力のエンジンは凄まじい加速力

初代オーナーも納得させる内外装のデザイン

 日産自動車がFRレイアウトのスポーツカーとして世界的に認知され高い人気を誇る「フェアレディZ」に新型モデルを登場させた。

 外観のティザーが公開されるや大きな話題となり、多くZファンがその登場を待ち望んでいた。

 そして、いよいよ新型フェアレディZに試乗する機会が訪れたのだ。試乗場所はなんと日産自動車が北海道に持つ「陸別テストコース」だ。陸別テストコースはドイツのアウトバーンやニュルブルクリンク北コースを模したコースレイアウトが特徴的で、欧州まで出向かなくても国内で同様の走行テストが出来ると話題となった特別な場所だ。GT-Rも先代Zも、この場所で鍛え上げられたのだ。

 今回試乗に供されたのは新型フェアレディZのバージョンSTに9速ATを装備した仕様と、バージョンSの6速MT仕様の2モデルである。

 パワーユニットは3リッター直噴V6ツインターボで最高出力は405馬力/6400rpmにまで引き上げられている。一方最大トルクは475Nm/1600〜5600rpmと力強く幅広いトルクバンドを持ち、圧倒的な動力性能を予感させる。

 外観的には初代フェアレディ(S30型)のアイコニックなシルエットをサイドビュープロポーションに継承させ、ラジエターグリルやヘッドライトラインなどにも復刻させ、原点回帰の方向性を示している。この手法が世界中のZファンを熱狂させたのは明らかだ。

 まず9速ATのバージョンSTに乗り込んだ。バージョンSTはラインアップ最上級グレードで、室内の装飾や電動アジャストシートなど豪華な仕様となっている。新設計のシートは骨格が頑丈でサポート性にも優れ、見た目もいい。

 ダッシュボード上部中央には3連メーターが備わる。これも初代S30型を知る者にとっては感涙のレイアウトといえる。3連メーターは左から「電圧計」「タービン回転速度計」「ブースト計」と並ぶ。タービン回転速度計は前例のない装備で、片方のターボチャージャーにセンサーを取り付け、軸回転数を示す。従来の大型ターボ時代では15万回転/分程度だったのが近代の小型ターボは25万回転/分と高速化しているため「ドライバーがしっかり認識すべき領域になったかた」とブランドアンバサダーの田村宏志氏は熱く語ってくれた。

 ドライバー正面のメーターナセル内には12.3インチのカラーディスプレイが配置され、走行モードによって異なった表示内容となる。とくにスポーツモード選択時、円形のタコメーターが中央にレッドゾーンが真上となるように配置表示される。またシフトアップインジケーターが左右から緑→黄色→赤と中央に向かって点灯し、中央の赤が点灯した時にシフトアップ操作をするというレーシングカーの表示ロジックを応用している。これはレーシングドライバーの松田次男氏がアドバイスを行ってものだという。

 9速AT自体はジヤトコ社が新開発したもので、軽量のマグネシウム製ハウジングを持ち、全段1500回転からロックアップが作動するという。伝達効率性やマニュアル車に劣らない直結感が魅力だ。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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