輸入車が「オシャレ」「個性的」と言われるのは思い込み? 国産車と何が違うのかをデザインのプロが検証 (2/2ページ)

流行のSUVも輸入車ならではの魅力がある

人気のSUVをとびっきりスタイリッシュに

 流行のSUVは日本車でも個性を競っていますが、たとえばランドローバーの「ディフェンダー」や「レンジローバー」のスタイリングに追い付くことは並大抵ではありません。ディフェンダーは基本を滑らかな面としつつ、シャープなラインやオリジナリティのあるパーツ類で、高い悪路走破性や堅牢性を感じさせるところが秀逸です。

 一方のレンジローバーは、オンロードも意識したとはいえ、徹底したフラッシュサーフェスで個性を生んでしまうデザイン力が圧巻です。もちろん、そこに置かれるミニマムでメカニカルな表情のランプやグリル類、近未来感溢れるリヤのガーニッシュなどもまた高いセンスによるものです。

伝統のスポーツカーも日々進化中

 スーパースポーツはもともと輸入車の独壇場であり、フェラーリやランボルギーニの他、ポルシェやマクラーレン、マセラティと個性派揃いです。ただ、どのメーカーも決してそこに胡座(あぐら)をかいているわけではありません。

 たとえばフェラーリの「ローマ」は、1960年代のGTをモチーフに「フォーマルなミニマリズム」として、新たなエレガントさやピュアな表情を打ち出しています。また、限定モデルとはいえ「カウンタック LPI 800-4」で往年の名車を復活させたランボルギーニも、また歩みを止めていません。

 さて、あらためて最新の輸入車デザインを見てみると、実用車やSUV、セダン、スポーツカーなど、それぞれのクルマは自社の歴史や伝統に裏打ちされたものであることがわかります。器用であるが故に、思いつくまま多種多様の商品を作り続けてきた国産メーカーとの違いはそこにあるようです。

 ブレがないことの魅力。それによる独自の文化の醸成。ここに価値を見出すユーザーがいる限り、輸入車デザインの魅力は発揮し続けると思えるのです。


すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

愛車
いすゞFFジェミニ4ドア・イルムシャー(1986年式)
趣味
オヤジバンド(ドラムやってます)/音楽鑑賞(ジャズ・フュージョンなど) /カフェ巡り/ドライブ
好きな有名人
筒井康隆 /三谷幸喜/永六輔/渡辺貞夫/矢野顕子/上原ひろみ

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