ミズノから新発売のドライビングシューズが普段使いもイケて運転もラクで控えめに言って最高だった (2/3ページ)

「素足感覚」でペダルを操れるうえに歩き心地も上質

 今回発表された「ベアクラッチ」を早速見てみると、昨年マツダとコラボしたシューズとは形が大きく異なっており、俗に言うスニーカースタイルとなっている。開発者たちに話を伺ったところ、「生活に馴染むスタイルを目指した」という。日常生活はもちろん、ビジネスユースでも違和感なく履けるよう、どこにでもあるようなスタイルを目指したとのこと。

 実際、当日の試乗会のスタッフは全員履いていたが、まったく違和感なく履きこなしていた。スーツでもオフィスカジュアルのような格好でもまったく問題ない。たしかに、先述した昨年のマツダとコラボしたシューズでは、デザインや色は問題ないものの、ドライビングに特化したアイテムだっただけに、足首まわりをサポートするためのハイカット形状だったので、歩行が多い人には若干窮屈だった記憶がある。

 次に開発した経緯を聞いたところ、「せっかくマツダさんと一緒に突き詰めた技術なので、あれで終わりではなく一般ユーザーが使える価格帯でもっと普及させたい」という想いがあったとのこと。たしかに、昨年マツダとコラボしたシューズは、さまざまな要素を考えれば決して高い価格ではなかったが、4万円近いともなればおいそれと手が出せないのもわかる。かくいう私もそのひとりだからだ。なので、今回のこの「ベアクラッチ」は、なんと実売価格で1万2100円(公式通販価格)! なんと普通の靴と同じような価格でリリースしている。ドライビングシューズを名乗る大手メーカーの製品としては破格だ。

 以上のような前情報をもとに、早速試着させて頂いた。今回履いたのは筆者の普段履く靴と同じ25.5cm、カラーはホワイトだ。よくメーカーによって靴のサイズが「小さめ」「大きめ」とあるが、この靴は日本人の足を徹底して研究しているので表記通りのサイズでほぼ問題ないとのこと。試乗車はお馴染みのマツダ・ロードスター。ミッションは6速MTとなる。

 先ず、社屋で履いてクルマに向かうまでの間でその「軽快さ」に驚かされた。靴自体がかなり軽いのももちろんだが、歩き心地もクッション性が極めて高くかなり上質。初めて履いた靴だが、すでに何度か履いていたかのような履き心地だ。合成皮革を使用したアッパーソールは柔らかく、つま先や足の甲の動きを一切邪魔しない。見た目こそシックだが、ランニングシューズ的なフィーリングと言っても差し支えないだろう。ミズノ的にはこれを「素足感覚」と言うらしいが、その名の通りの感覚。

 クルマに乗り込み、クラッチを繋いで発進する際も、この柔らかさと適度な剛性感は足の動きにベストマッチ。足首のサポートこそないが、昨年試着したマツダのドライビングシューズをもう1度履いたかのように錯覚した。また、踵の剛性とラバー(ラウンドソール)が上の方まで伸びている(ここ重要)ので、ペダルを踏み込む際の動きが極めて安定している。この踵のラバーは、ドライビングシューズを名乗る靴では必須の構造なのだ。このシューズも類に漏れず同じような作りとなっている。

 クルマを進め、首都高速に入る。ここでは加速減速と同時にヒール&トゥを試すなど、細かいペダルワークをテストできるので、ドライビングシューズのテストには最適な場所。あまり上手ではないが、それっぽくできるヒール&トゥなどひと通りの動作を試してみる。するとまぁスルスルと面白いくらいに決まる。普段乗ってないクルマ&履いていない靴なのにも関わらずだ。ペダルのフィーリングが非常にわかりやすい。たとえるなら、「めちゃめちゃ剛性の高い素足」でペダルを操作しているような感じだろうか。とにかくフィーリングがダイレクトに伝わるのだ。また、靴も軽いので踏み替えも容易だ。天晴れである。

「何を大袈裟な。ただ踏むだけでしょ?」と思うかもしれないが、ペダルはクルマを操作するうえで欠かせない部分で、ハンドルを握っている手に次いで、第2の手と言っても過言ではないほどその操作は重要だ。性質は違うが、踏み間違い事故だって、ペダルに起因するものだし、クルマの加減速もペダルを介して行われる。それに、デートの際に女の子を乗せているときにペダル操作が安定しなければ、首はガックンガックン振られるし、クルマ酔いだって起きかねない。きっと嫌われるだろう。嫌われなくても今後のドライブデートプランはもう消滅だ。

 そのように、極めて重要なペダル操作をサポートしてくれるこの「ベアクラッチ」は、昨年のマツダとのコラボシューズに次ぐ「モテるシューズ第2弾」と言っても過言ではないだろう。それほどまでに、このシューズはスムーズな運転を実現してくれる。あまり運転が得意ではない人にはお助けアイテムに、運転が得意な人にはさらにもう1ランクスキルを上げる武器になるはず。是非、世の中のクルマ好き男子諸君には、履き物にも気を配って頂きたい。

 1時間ほどの試着で、このシューズをたった1年ほどで仕上げてきたミズノはさすがスポーツ用品メーカーの老舗だと、身をもって実感した。

 では、このデメリットが見つからないお手軽ドライビングシューズ「ベアクラッチ」。どこがそんなに他のドライビングシューズと違うのか、比較してみたい。


WEB CARTOP 井上悠大 INOUE YUTAI

編集者

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