「やっぱりエンジンは直6だよ!」と思わせる陶酔感! 人生一度は味わってほしい「直6名機」と搭載車5選 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■直6エンジンのメリットとデメリットを紹介

■コストや搭載スペースなどの都合から最近では直6エンジンは希少になりつつある

■搭載される直6エンジンのフィーリングが素晴らしかった名車たちを振り返る

直6エンジンの良さと名車を丸っとおさらい!

 クルマ好きが大好きなエンジンレイアウトといえば、頂点のV12気筒と、それを片バンクだけにした(?)直列6気筒。V12気筒はかなり特殊なエンジンなので、普及型エンジンでいえば直6エンジンに名機が多い。

 なぜ直6エンジンに名機が多いかというと、まず排気量の問題。エンジンは1気筒の排気量が大きいほど1気筒あたりのトルクが出るが、あまり1気筒の排気量を大きくすると、ピストンその他が重たくなって回転の上昇が鈍くなる。そこで、1気筒あたり400~500ccというのが美味しい目安になるので、2000cc~3500ccぐらいまでは6気筒がベストになるわけだ。

 次にエンジンは多気筒化するほど、クランクシャフトを1回転する間の爆発回数が増えるので、単位時間あたりの仕事量=馬力が大きくなる。さらにクランクシャフトを1回転させるのに爆発回数が4回よりも6回、6回よりも8回、8回よりも12回と増えれば増えるほど、スムースにまわり、高回転化にも向いており、エンジンが高回転までまわって、1秒あたりの爆発回数が増えると排気音の周波数も高くなって気持ちがいい!

 また、直6にはエンジンの二次振動を打ち消せるという大きなメリットもある。

 ピストンは上死点と下死点で一旦停止したあと、反対方向に動き出す。このとき慣性が働き、振動の原因になる。これが一次慣性力による一次振動。これは直4エンジンのように、1番と4番、2番と3番がペアになり、片方が上死点のとき、もう片方が下死点になるようにしておけば、一次慣性が相殺され、振動は防げる。

 しかし、上死点と下死点以外ではコンロッドが斜めに傾きながら動いてため、ピストンが上昇するときと下降するときでは、慣性が一致しない場面ができてしまう。4気筒エンジンでいえば1番と4番が爆発して下降=最高速点に達したときの慣性力は、2番と3番の上向きの慣性力を大きく上まわるので、ここで二次慣性力が発生し、振動を生じてしまうというわけだ。この一次振動と二次振動を同時に消すには、ピストンの上下運動が重ならないように、爆発の間隔を3等分するのがベスト。

 直6エンジンの場合、クランクピンの位相を2気筒ずつ、3等120度間隔に配置できるので、振動の問題は綺麗さっぱり解決する。

 これらの長所のおかげで、直6エンジンには、力強く、スムースな名機が生まれやすい。ただし、直6はエンジン長が長く、クラッシャブルゾーンを確保しづらく、横置きにも適さないのでFF車やFFベースの4WDには不向きで、6気筒エンジンの主流はV6になってきているのはご存じのとおり。

 だからこそ、直6の名機を積んだクルマを味わって欲しいので、直6ならではのグッドフィーリングがウリだった車種を何台かピックアップしてみよう。

日産 スカイラインGT-R

 まずは日産。フェアレディZなどのL型エンジンなども有名だが、最良なのはRB26DETTを積んだ、第二世代のGT-R。車重の割に、排気量が2.6リッターと小さいので、実用域のことを考えるともう少し排気量があれば、と思わないでもないが、その分、高回転の伸びは素晴らしい。

 6連スロットルとセラミックツインターボの組み合わせでレスポンスもよく、4000~8000回転まできっちり使えた。エキゾーストノートも魅力的だったし、チューニングすれば1000馬力の大台に乗るポテンシャルも! 名実ともに、日本一の直6エンジンと言っていいだろう。

BMW M3(E46)

 昔からBMWの直6=ストレートシックスは、シルキーシックスといわれるほどスムースで気持ちがいいエンジンの代名詞だった。BMWは前身が航空機のエンジンメーカーで、直6エンジンこそが理想的と信じていた節があり、世界の自動車メーカーで一番直6への思い入れが感じられた。それだけにお金も手間もノウハウもたっぷりつぎ込んだ直6を作っており、なかでもE46のM3に積まれたS54B32エンジンはBMWの直6の傑作。

 3.2リッターのNAで、360馬力の最高出力はなんと7900回転で発生。レブリミットは8000回転なので、とにかく回転の上昇とともにぐんぐんパワーが増していくので気持ちがいい。もちろんBMWの直6ならではの「完全バランスエンジン」で、こだわりの6連スロットルでレスポンスもシャープ。稀に見る高回転型の高出力エンジンではあるが、ダブルVANOS(無段階可変バルブタイミング機構)との組み合わせで、低~中回転域でのトルクも充分あり、ドライバビリティも文句なし。クーンと伸びる排気音も美しく、直6の良さが詰まっている。

 ターボなら日産のRB26DETT、NAならこのBMWのS54B32エンジンが直6エンジンの最高峰ではないだろうか。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

愛車
日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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