これってクルマ? それとも?? 新生ランチアが新ロゴと共に発表した「謎の物体」の正体とは (2/2ページ)

ランチアが公開したオブジェは果たしてクルマなのか?

 ランチアのようなブランドとしてアセットとして大きな資産を、ステランティス・グループのカルロス・タヴァレス会長が放っておくはずはなかった訳だが、プルエ氏の様子を見る限り、会長にやらされてトリノのチェントロ・スティーレに行ったのではなく、おそらくセルフ人事発動でやっている可能性がある。トゥインゴ、次いでシトロエンという総合自動車メーカーを経たあとにランチアということは、どれだけぶっ飛んだスーパーカー状態のデザインを手がけても、世間も会社もがっちり受け止めてくれそう、そんな仕事の自由度というか読みが、絶対にあるだろう。

 昨年の就任当時のリリースを再読してみたら、プルエ氏は比較的、若くて少人数のデザイナーのチームを指揮しているという。

 そしてこの日、新生ランチアのデザインにおける最初の成果としてアンヴェールされたのが、「PU+RA ZERO(ピューラ・ゼロ)」だ。名前の由来は、ピュアとラディカルを足したという造語だ。最初の1音節目は、ナポリターノ氏がいうとフェラーリのプロサングエよろしくイタリア風に「プー」なのだが、プルエ氏がフランス風に発音するとやっぱり「ピュー」。

 それはさておき、バロック宮殿の回廊に置かれたそれは、ホントにクルマか? というミステリアスな物体だった。低いというか、タイヤすら付いていない…。ストラトスは成層圏から現れたような、と形容されたが、さらに上の宇宙から降りてきたような、見れば見るほどナゾ過ぎる、そんなオブジェっぷりだ。

 辛うじて前に進む方向は、何となく示されているが、リヤの尖ったオーバーハング面の両端に、丸いテールランプのようなものが載っているところが、少しストラトス風でもある。天井の丸い窓は、ドゥオモのようなイタリアの古典建築で見られる灯りとりを彷彿させる。なるほど、幾何学的かつ建築的だ……。

 下の台は、クルマとしての一部ではなさそうだが、もしかしてコードレス充電の台でも兼ねているのかもしれない。ちなみにランチアはインテリアに関しては、デザイン家具の総合ブランドとして有名なカッシーナとパートナーシップを結んで進めている。

 いずれ、いまのところすべてに意味や仕組みを見出すのは不可能というか、ナゾを深めること自体が目的ではないか? タイヤすらないオブジェでもって、近い将来に発表される市販モデルのデザイン・ランゲージを主張すること自体、突拍子もないファーストステップともいえる。

 ジャン・ピエール・プルエのデザイナー・キャリアの究極はどこに向かっていくのか、新生ランチアの動向として見逃せなくなってきた。


南陽一浩 NANYO KAZUHIRO

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