レッドブルにブガッティにアウディ! クルマ&バイクメーカーが本気出した「電動キックボード」の中身がヤバイ (2/2ページ)

4輪ブランドだけでなく2輪ブランドも黙っていない

セアト MÓ eKickScooter 65

 スペインでフィアットのパートナーメーカーとして発足したセアトもフォルクスワーゲングループになって久しくなりました。当然、ユーロ圏で売れ始めている電動モビリティにも積極的で、クルマメーカーなのに電動スクーターや、電動キックボードもリリースし始めています。

 キックボードのコンセプトもグループ内のアウディと同じく「ラストマイル」ライドをうたい、最高速25km/h、航続距離65kmと標準的なパフォーマンス。ただし、チューブレスタイヤの採用による操安性や快適性、あるいはエコ、ドライブ、スポーツという3つのライディングモードを備えるなど、クルマメーカーらしいコンストラクションは魅力あるもの。さらに、eKickScooter 25という下位グレードも用意され、こちらは航続距離が短くなるものの、よりカジュアルに乗り出せるという。

 それにしても、スペインの情熱でも表したのでしょうか、ハンドルポールを深紅にペイントするなど、センスの良さは海外メーカーらしいもの。アウディ同様「ラストマイル」コンセプトを受け入れるなら、これくらい遊び心があるものを選びたいですね。

ドゥカティ E-Scooter PRO III

 自動車メーカーのみならず、世界的な2輪メーカーもチャンスとばかりに電動キックボードをリリースし始めています。トップランナーになりそうなものが、こちらドゥカティのPRO IIIで、マグネシウム製フレームや、10インチのチューブレスタイヤ、そして航続距離も最大50kmを誇ります。なにより、モトGPを制することたびたびある2輪メーカーですから、同じ2輪のキックボードなどお手の物だったに違いありません。

 また、ドゥカティお得意の電子制御デバイスは、乗り出す際のセキュリティ、すなわち専用タグがキーの代わりとなり、これがないと始動すらできないという仕組み。NFCテクノロジーと呼ばれるシステムは、今後のトレンドとなりそうな良テクではありますね。

 さらに、フロントとリヤはいずれもディスクブレーキを備えつつ、KERS(熱エネルギー回生装置)までおごられるというドゥカティらしいハイエンドモビリティとなっています。

 意外と見過ごしがちでしょうが、USBポートが標準装備されており、外出先で携帯電話の充電ができるなど、使い勝手の良さも他メーカーに先んじているかと。いまや、ドゥカティは直管マフラーでブイブイ言わせるブランドではなくなっているのです。

アプリリア ESR2

 ドゥカティと同じく、イタリアのバイクメーカーたるアプリリアからもESR2という電動キックボードがリリースされています。大きなトピックスは、やはりフロントのデュアルダンパーサスペンションで、さすがバイクメーカーらしくこだわった設計です。10インチのチューブレスタイヤとあいまって、キックボードとは思えない操安性や走りのパッションを提供してくれそう。

 もともとアプリリアはデザインやグラフィックに定評あるブランドですが、ESR2はイタルデザインが手がけたとのことで、さすがにカッコイイ! さらに、イタルデザインはモビリティアプリの開発も担い、これはグーグルアプリ、アップルストアからも入手できるそう。バッテリー充電量や航続距離といった基本情報に加え、車両が最後に位置した場所を表示するなど、盗難対策まで盛り込まれた模様です。

 バイクに乗る方なら、キックボードもまた気の利いた2輪メーカー製に乗りたいもの。やはり、ドゥカティ同様に2輪走行のノウハウ、アドバンテージはたしかに高そうですからね。


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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三菱パジェロミニ/ビューエルXB12R/KTM 690SMC
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