【試乗】RSの名は伊達じゃない! 細部までスポーティに仕立てられたフィットRSを堪能 (1/2ページ)

この記事をまとめると

フィットRSに中谷明彦が試乗

■先代モデルにもRSは設定されていたが、現行モデル登場時には設定がなかった

■RS専用パーツを多数装備したパフォーマンスモデルとなっている

待望の「RS」はしっかり「ロードセーリング」していた

 新型フィット4代目がマイナーチェンジを受け、注目の「RS」グレードが追加された。

 RSのネーミングは、ホンダにとって1972年に登場した初代シビックRSが最初で、当時からRSは「ロードセーリング」の略とされ引継がれている。最後のフィットRSから約2年の歳月を経てフィットRSはそのDNAを継ぐモデルとして復活させられたことになる。それはビッグニュースとして世界中のホンダファンの注目を集めているに違いない。

 まず、外観的にはフロントバンパーデザインが一新され、またサイドのガーニッシュやリヤバンパーなどもRS専用デザインとなり、ほかのグレードも一様に変更を受けているなかで、よりスポーティで個性的な出立ちを纏わされている。

 パワートレインはe:HEV(ハイブリッド)モデルとガソリンモデルの設定。ベースとなるグレードのマイナーチェンジによってエンジンが1.5リッターにスケールアップされ、HVの駆動モーターも123馬力に高出力化されて、より力強い走りを可能としている。

 ひとつには今後欧州市場への輸出を念頭に置いたための措置とも言え、欧州名では「JAZZスポーツ」として発売されることを見込んでいる。欧州市場での動力性能での重要性を加味してガソリンエンジン自体のパフォーマンス向上を狙ったのだという。モーターの出力アップとガソリンエンジンの出力アップで動力性能は大幅に高まることになる。

 走りはじめは電動モーターによるEV走行で、通常の速度領域においては従来のフィットe:HEVの走行フィールと大きく変わらない。しかし、加速でアクセルを踏み増すと。よりトルクフルになり動力性能の高まりを実感することができる。さらに、アクセルを踏み続ければエンジンが高回転に吹き上がり、より高出力を発揮する。高速道路の流入やワインディングでのちょっとした加速区間などでも走りが力強くなっていることがわかるのだ。

 また、減速区間において回生モードに切り替わり、バッテリー充電量が少ない場合はモーターによる回生で減速Gを発生させる。ステアリングの左右スポークに備わるパドルを操作すれば減速強度を任意に加減でき、シフトダウンしてエンジンブレーキを強めるようなスポーティなドライビングも可能だ。

 一方、バッテリー容量がフル充電状態にあると回生エネルギーを吸収する場所がなくなり、従来熱に変換して大気放出するようなHVシステムが多いが、ホンダのe:HEVシステムでは、駆動用モーターを回生エネルギーで回転させ、接続するガソリンエンジンを燃料カットして空転させることでエネルギーを放出、回生エネルギーを消費している。したがって、減速区間が長くなると、さもエンジンが始動してエンジンブレーキをかけているような状態となるが、実際にはモーターがエンジンを回転させているわけだ。

 本来は蓄えて再生すべき運動エネルギーを、こうした形で消費するのはもったいないことだが、どんなに大きなバッテリーを備えても充電キャパシティを超えての回生はできないので、ドライバーの感覚にあったエネルギー放出システムは、スポーツドライビングには重要なポイントとなるだろう。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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