とにかく目立つどデカイ縦型グリルは原点回帰! ここに至るまでのBMWのデザインを振り返ってみた (2/2ページ)

現在は「328」や「3.0CS」の縦型グリルを再解釈

アメリカ人デザイナーによる大改革

 2000年代に入り、この流れを打ち破ったのがあのクリス・バングルです。アメリカ人初のデザイン責任者となった氏は、斬新な立体構成と面造形でシリーズのデザインを一新しました。「5シリーズ」や「7シリーズ」ほどではないものの、永島譲二が手掛けた5代目3シリーズも従来にない立体感を見せました。

「6シリーズ」や「Z4」も含め、氏のスタイリングは決して小手先ではありませんでしたが、それでも大きな反発があったのは、やはりBMWユーザーの保守性に大きな理由があったと思えます。実際、氏の後任となるエイドリアン・ファン・ホードインクによるスタイリングは、極めて常識的な範囲に軌道修正されたのです。

 たとえば3シリーズは、退屈なスタイルではないものの、コレといった大きな特徴はなく、モデルチェンジに気付かないほど変化が少なくなったのです。一方で、「i3」や「i8」のようなチャレンジもありましたが、販売の主力モデルはいささか慎重に過ぎました。

動き始めたBMWデザイン

 そして現在。新たに責任者に就任したドマゴイ・シュケッチは、かつての「328」や「3.0CS」では特徴的な縦型グリルが用いられていたとし、これを現在に再解釈するとします。新しい7シリーズや4シリーズの巨大グリルはその一環なのです。

 冒頭で述べたとおり、グリルの大小はあくまで部分的な話であって、重要なのは全体のスタイリングのはずです。しかし、それでもBMWデザインが多くのユーザーに分かりやすいカタチで動き出したのは間違いないようです。

 日本カー・オブ・ザ・イヤーを見ても、BMW車は2012-2013の第33回以降7回もの受賞歴がありますが、3年前の第39回までは「エモーショナル部門」など走りの面の評価がメインでした。が、先述の通りここ2回はデザイン部門の受賞であり、新しい改革がそのまま反映された格好です。

 ユーザーの3分の2が保守層と言われるBMWですが、いまのところクリス・バングルのときのような猛反発はなく、大きなグリルには「慣れると気にならない」という声も聞かれます。その成否を語るのはもう少し先として、まずは今後の改革の中身をじっくりチェックしたいところです。


すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

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いすゞFFジェミニ4ドア・イルムシャー(1986年式)
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