ジムニーやアルトなどでヒット連発のスズキにだって苦手なジャンルが!? スズキの普通乗用車セダンは苦難の連続だった (1/2ページ)

この記事をまとめると

スズキが販売していた普通乗用車のセダンモデルを振り返る

■スズキ初のセダンは1965年登場のフロンテ800だったが、その販売不振がスズキを軽自動車に走らせた

■以降もカルタス、エリオ、SX4などのハッチバック車を3ボックス化してセダンとして販売していた

1965年には普通乗用車セダンを発売していたスズキ

 現在、多彩なジャンルの軽自動車や小型SUV、マイクロミニバンなどをラインアップするスズキですが、過去にはセダンを販売していたことをご存知でしょうか? もちろんアルトなど、現在「軽セダン」と呼ばれるものではなく、3ボックスでトランクが備わった正統派セダンです。

 今回はスズキが過去に販売していた軽セダンではない普通乗用車の3ボックスセダンを紹介していきましょう。

改めて振り返る、軽自動車のパイオニアメーカー「スズキ」とは

 スズキが誕生したのは1920年。もともとは足踏み式織り機を製造する「鈴木式織機製作所」がルーツとなります。創業者の鈴木道雄氏は100以上の特許や実用新案を所得した発明王で、戦争が終結した後、1952年に自転車にエンジンを搭載したパワーフリー号を販売。その後もオートバイの製造・販売を続け1954年に社名を「鈴木自動車工業」へと変更します。

 その後、1955年にスズキ初となる自動車(軽自動車)「スズライト」の販売をスタート。

 四輪車メーカーとなった同社は1965年に初の小型乗用車「フロンテ800」を発表。フロンテ800は今回のテーマとなるスズキ初のセダンでもありました。

 その後、軽自動車を中心に販売を続けてきた同社は1990年に「スズキ株式会社」に改称。GMやフォルクスワーゲンと資本提携を結ぶも、現在はいずれも提携解消。2020年に創業100周年を迎えるなど、国内外で存在感を誇る自動車メーカーとなっています。

歴代スズキセダン

・フロンテ800(1965〜1969年)

 ボディサイズ:全長3870mm×全幅1480mm×全高1360mm

 スズキは1963年に開催された「第10回全日本自動車ショー」に2ドアセダンを参考出展。その参考出展車と同じコンセプトのまま1965年に販売したのがフロンテ800でした。2サイクル800cc直3エンジンを搭載し4速MTと組み合わせ、サスペンションはフロントがウイッシュボーン式トーションバー、リヤはトレーリングアーム式トーションバーを採用。ボディはモノコック構造とし曲面ガラスを採用するなど当時としては先進的なセダンとして登場しました。

 このようにスズキとしては意欲的なモデルでしたが、販売は低迷。1969年まで販売が続けられましたが、フロンテ800の販売が成功しなかったことで、スズキは小型乗用車の生産から手を引き軽自動車の販売に力を入れていくことになりました。フロンテの名も軽自動車として引き継がれています。

・カルタスエスティーム(1989〜1995年)

 ボディサイズ:全長4075mm×全幅1600mm×全高1380mm

 スズキは1981年からGMと提携。そのGMとジョイントし誕生したのがカルタスです。カルタスは1983年に初代が登場し北米市場ではシボレー・スプリントとして販売されました。

 2代目カルタスは1988年に登場しましたが、1989年に4ドアセダン「カルタスエスティーム」を追加しています。

 ハッチバックをベースとして4ドアセダン化したエスティームは、3ドア&5ドアハッチバックに搭載されていなかった1.6リッター直4エンジンをはじめ、1.3リッター直4、また後に1.6リッターは1.5リッターエンジンへ変更されています。

 セダンのトピックスではないですが、2代目カルタスには海外専売モデルだったコンバーチブルの国内販売が行われるなど、話題が豊富なモデルでした。

 エスティームは1995年に、この後に紹介するカルタスクレセントが販売されたことで生産を終了。ただし、2代目カルタスのハッチバックは2000年まで販売が続けられています。

・カルタスクレセント(1995〜2002年)

 ボディサイズ:全長4195mm×全幅1690mm×全高1395mm

 1995年に登場したカルタスクレセントは、3代目カルタスではありましたが、カルタスよりひとつ上の上級モデルとして登場しています。ハッチバックとともに登場したセダンはエスティームよりひとまわり大きいボディを備え、とくにリヤシートまわりの空間が拡大しました。

 カルタスクレセントのセダンは1.5リッターエンジンを搭載。ハッチバックに用意された1.3リッターエンジンは設定されていません。すべてのエンジンが4バルブ化されていたことも特徴といえるでしょう。また、セダンに搭載されるエンジンですが後に1.6リッターエンジン搭載車も追加されています。

 このモデルにはセダンをベースとしたステーションワゴンが新たに設定されたことも話題を呼びました。セダンより上級化が図られたステーションワゴンはルーフレールを標準装備したほか、ルーフエンドスポイラー、イタリアOZ製アルミホイール、電動サンルーフ、樹脂製フロントグリルバーなどを装備。パワーユニットもハッチバックやセダンにはない1.8リッターエンジンもラインアップされています。

 カルタスクレセントのセダンは2001年に販売が終了。ステーションワゴンは2002年まで販売が続きますが、販売終了とともにカルタスがブランド消滅となりました。


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