ソルテラオーナー2人を直撃! SUBARUのガソリンモデルから乗り替えて使った本音を全部聞いてみた (2/2ページ)

SUBARUのエンジン車3台を乗り継いできたオーナーも納得の走り

「SUBARUから本格的な電気自動車が発売される!」 そんなニュースを知った瞬間から、Aさんはソルテラの購入を決めていた。2022年5月に予約の受け付けが始まると、いの一番に注文。その甲斐あって、2022年の年末、かなり早いタイミングで納車されている。2カ月半ほど所有しての印象を聞いてみた。

 Aさんは東京都在住のサラリーマンで、奥さんと二人のお子さんの4人暮らし。熱狂的なスバリストというタイプではないものの、SUBARU車への愛はとても深いようで、これまで所有した3台の愛車はすべて新車のSUBARU車だ。

 最初の愛車は、2005年に購入した4代目レガシィツーリングワゴンの2.0R。280馬力のターボや3リッターの6気筒など、スポーツモデルの選択肢が多い中、2リッターのNAスポーツという渋めのグレードをチョイスしている。5速MTなので、当時としてはハイチューンの190馬力を発揮した痛快なユニットのエンジンフィールの良さがとても思い出深いらしい。ウインタースポーツがお好きなので、ワゴンの実用性も含め、最初の愛車でSUBARU車の良さにすっかりハマったという。

 次の愛車は、2018年に購入した2代目のXV。新世代プラットフォームSGPがもたらす動的な質感の高さや、どんな路面状況でも難なく走れる走破性。アイサイトVer.3の自然な制御や手軽なサイズ感など総合的にとても気に入り、不満らしい不満はなかったと語る。

 XVにまだしばらく乗り続けても良かったが、信頼するブランドSUBARUから最先端の電気自動車が発売されると聞いて、即座に乗り換えを決意した。一軒家の新築を買ったタイミングでもあったので、自宅で充電できる自動車を所有したいとの思いが高まったようだ。

 ちなみに、東京都在住ということで、国と都からの補助金はフルに活用できた(100万円以上)という。

 購入したのは、標準グレードのET-SSのAWD。20インチホイールを履く上級グレードの格好良さにも惹かれたが、検討を重ねた結果標準グレードを選択する。価格が少しでも安くなることに加え、18インチを履く標準グレードは、一充電走行距離が上級グレードより1割ほど長くなるのがポイントに。おそらく、乗り心地も18インチのほうがより良いだろうと予想しての判断だった。

 ちなみに、写真では社外ホイールに交換しているかのように見えるが、これはET-SSグレード標準装備の「エアロキャップ」を外した状態で、基本的には純正の18インチのままだ。エアロキャップは文字どおり空力性能を発揮するメリットがあるが、試しに外してみたところ、ハーバーミストグレーパールとブラックのツートーンカラーとのマッチングの良さが気に入り、ずっとこの状態にしているという。「意外なところでプチカスタマイズが楽しめました(笑)」と満足げなAさん。

 室内装備では、やはり上級グレードのほうがより充実するので、細かいところではドアトリムなどに備わるイルミネーションが付かないなど、標準グレードでは少し物足りなさを感じることを覚悟していたらしい。しかし、結果としてはそれは杞憂に終わった。

 やや地味ながら、イルミネーションのない室内は落ち着いた雰囲気で運転に集中しやすく、Aさんの好みにはベストな選択だったのだ。

 上級グレードには高性能オーディオ「Harman Kardon」がメーカーオプションで用意され、音の静かな電気自動車の室内でそれを楽しむことにもすごく心惹かれたようだが、「電気自動車の静かな室内空間は、標準的なカーオーディオでも音がよく聞こえる」のだという。これも意外な副産物といえる。

 Aさんが電気自動車を初めて所有するにあたり、もっとも感動したのは「S PEDAL DRIVE」による、いわゆるワンペダル操作でアクセルとブレーキがコントロールできることだった。「思ったとおりの加減速がしやすく、アクセルペダルを操作する右足が常にクルマの動力と繋がっている感覚が心地良いのです」と語る。このコントロールのしやすさと心地良さにより運転での疲労が軽減され、結果として”運転がラクになる”効果が得られるところに大きな魅力があるという。それはこれまでに所有したガソリンエンジン車にはなかった魅力で、回生エネルギーがたまっていく様子も運転の楽しさに繋がっている。

「S PEDAL DRIVE」状態では、アクセル操作に連動して多少前後の揺れが生じてしまうので、家族を乗せるときは使わず、一人で乗るときに限定している。「あともう少しだけ加速したい」と思ったら、その要望そおりのトルクが瞬時に立ち上がるところも、電気自動車ならではの美点として楽しんでおられた。

 また、ソルテラのAWD車には、ステアリング横にパドルシフトが備わることも便利だという。一般的なガソリン車と違って変速用ではなく、回生ブレーキの強弱を調整するものだが、じつはトヨタ版のbZ4XにはAWDでも備わらない、SUBARUのこだわり装備でもある。

 SUBARUは、雪上など滑りやすい路面に遭遇した際、ステアリングから手を離さずにギヤを落としてエンジンブレーキを利かしやすくするため、スポーツモデル以外でもAWD車にはパドルシフトを積極的に装備している。現行型フォレスターでも全車標準装備だし、過去のインプレッサなどの実用車でも一部の廉価な仕様を除き、AWD車のパドルシフトの装備率は高い。SUBARUのAWD車ユーザーは、雪上路を走る機会が多いとの判断によるものだ。

 Aさんの前の愛車XVにもパドルシフトは備わっていたので、ソルテラでもその点は安心できると語る。まだ本格的な遠出はしておらず、豪雪地帯を走った機会もまだないようだが、納車後に東京都内でも積雪したことはあり、これまでのSUBARU車と同じように、まったく何事もなく普通に走れたという(もちろんスタッドレスタイヤは装着している)。

 AさんがSUBARUのAWD車に乗り続ける理由のひとつに「どんな路面状況でも行動の制約がなく移動ができる」という要素がある。都市部で雪が降ると、なるべくクルマには乗らないに越したことはないが、道路の交通状況はともかく、少なくとも自分のクルマはいつも通りに走れるという安心感は、決して手放せない性能だ。

 悪天候下でも、これまでのSUBARU車と変わらない走りを実感できて安心したというAさんに、筆者が個人的に気になる点を聞いてみた。ソルテラはSUBARUとトヨタの共同開発車で、内装のデザインや作り方は、どちらかというとトヨタ車的な思想が強く反映されているように見える。ずっとSUBARU車に乗ってきた人が、戸惑いや違和感を覚えることはないのだろうか? あるいは、これまでのSUBARU車にはなかった良い部分が見つかったりするものなのか?

 その問いに対してAさんは、しばらく考え込みながら困った様子で「そういえば、そういうものが思い当たらないですね」と笑いながら答えた。つまり、電気自動車であるという根本的な違いは別として、これまでのSUBARU車とまったく同じ感覚で乗れているということである。

 ご本人も少し驚いたのはボディサイズの感覚で、数値的にはXVよりもひとまわり以上大きなSUVになったというのに、運転する感覚としてはそれをほとんど感じないらしい。細かいところをみると、これまでの純SUBARU車ほどに視界が良いという印象はなく、XVと比べると後方視界はやや悪化しているはずなのだが、取り回しの面でも不都合を感じたことはまだないそうだ。

 そこでAさんは思い出したように「そういえば、自動駐車システムは意外と使っていますね」と語った。「Advanced Park」は予想以上に実用的らしく、綺麗にまっすぐ停める技術に、使いたびに感心するという。ただ時間はかかるので、後続車が待ってるような状況では使わないらしい。

 ご家族の反応でもっとも印象的だったのは、やはり音の静かさを驚く様子だった。静かであることは基本的に歓迎はしているものの、お子さんは当初、これまで聞こえていたエンジン音がまったく聞こえないのを少し寂しがっていたという。SUBARU車ユーザーのご家庭あるある、かも知れない(笑)

 また、これまでのクルマと異なり、駐車中に気兼ねなく車内で電装装備が使えることはとても大きなメリットだと感じるという。たとえば出先の駐車場で車内待機するときは、エアコンやテレビなどを躊躇なく使えるのはとても快適らしい。奥さんが買い物をしている間、お子さんと車内で過ごすのがとてもラクになったというのだ。

 ネガティブな要素としては、ソルテラというより、電気自動車そのもののデメリットが挙げられるという。これまでのガソリン車と比べれば航続距離が短い、出先の充電スポットがまだまだ少ない、冬場は暖房を使うと電力消費が大きくなる、といった点だ。しかし、Aさんの現状でのマイカー運用の範囲においては、そういう電気自動車特有のデメリットに困ったことはまだないという。自宅から片道約10kmの通勤と、休日に首都圏内の日帰りドライブを楽しむという今のカーライフでは、航続距離に不安を覚えたこともないようだ。

 ただ、現状では一軒家の自宅で夜間に充電しているとはいえ、V2Hと呼ばれる家庭用蓄電器充電システムはまだ備えておらず、コンセントからの充電なので、夜中に家庭内での電気使用量が増えるとブレーカーが落ちやすい難点を抱えているという。V2Hを設置すれば全面的に解決する問題であり、そうなると自宅の屋上に設置している太陽光発電システムと連携もできて、家庭の電気代が激減することも期待できる。

 Aさんは、これからの春や夏のレジャーシーズンでは、ロングドライブも検討中だ。「充電スポットなどの情報をしっかり把握し、余裕を持ったプランさえ立てれば遠出も問題ないと思うので、これから楽しみにしています」と語っていた。

 SUBARU初の電気自動車ソルテラは、SUBARU車を乗り継いできた子育て世代のファミリーに、これまでのSUBARU車と同じように愛され、新しい魅力を味わう楽しみを提供しているのであった。


マリオ高野 MARIO TAKANO

SUBARU BRZ GT300公式応援団長(2013年~)

愛車
初代インプレッサWRX(新車から28年目)/先代インプレッサG4 1.6i 5速MT(新車から8年目)/新型BRZ Rグレード 6速MT
趣味
茶道(裏千家)、熱帯魚飼育(キャリア40年)、筋トレ(デッドリフトMAX200kg)
好きな有名人
長渕 剛 、清原和博

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