もしも1970年代に新型プリウスがタイムワープしたらどうなる!? 「乗り込めない」「動かせない」けっこう大変なことになる (1/2ページ)

この記事をまとめると

■もしも1970年代に現行プリウスがタイムワープしてきたらどうなるか?

■モータージャーナリストの青山尚暉さんが再現

■このストーリーは動画で視聴することもできる

1970年代に現行プリウスがやってきた!?

 WEB CARTOPの読者諸氏の中で、70年代を謳歌し、70年代にクルマを運転していた人がどのくらいいるか分からないけれど、携帯電話やSNSのない時代の70年代の若者は、それはそれで自由を謳歌。ファッションで言えば、先端を行く若者はアメリカのヒッピーファッション、ロックファッション、ベルボトムなどに身を包んでいた。70年代を象徴するヒットアイテムと言えばオセロ(1973~)、スーパーカー消しゴム、インベーダーゲーム(1978~)などがあり、筆者の個人的趣味で申し訳ないが、日本の音楽シーンでは荒井由実さん(現、松任谷由実さん)が席巻。今でも唄い継がれるひこうき雲(1973)、やさしさに包まれたなら(1974)、中央フリーウェイ(1976)、卒業写真(1977)が邦楽の永遠のヒット曲となっていた。YUMINGの曲をカセットテープにマイベストとしてダビングしてドライブ、ドライブデートを楽しんでいたものだった。懐かしい……。

 ただし、自動車にとって1970年代は受難の年だった。アメリカで1970年、自動車による深刻な環境汚染からマスキー法(大気浄化法改正案第2章)が成立し、自動車から排出される炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物をそれぞれ90%も削減しなくてはならなくなったのだ。その排気ガス規制の厳しさから、自動車の性能はガクンと落ちることになったのだが、逆に、自動車の環境技術が飛躍的に向上したきっかけともなり、周知のとおり、日本のホンダが世界で初めてマスキー法をクリアしたCVCCを開発。1972年発売の初代シビックに搭載し、世界的なヒット作となったのだった。

 そんな1970年代でも、魅力的すぎる国産車は数多く存在した(排気ガス規制で低下した性能はともかく)。日産スカイライン(ハコスカ)、GT-R、フェアレディ240ZG、マツダ・カペラロータリークーペ、マツダRX-7、いすゞ117クーペ(当時の愛車)、ベレット、トヨタ・セリカ(ダルマとリフトバック)、三菱ランサーセレステ、当時の彼女が乗っていた日産チェリーなどが思い出される。

 と、70年代を振り返ってみたのだが、それは本題ではない。ここでの本題は、「もし70年代に、2023年発売の新型プリウスがタイムワープしてきたら、当時のボクはどう接することになるのか?」。しかも、70年代のボクの彼女が、じつは現代に生きる女性で、タイムマシーンで70年代にやってきた人だったら?……という突飛な空想、妄想である。

 さて、70年代のボクの目の前に、新型プリウスがある。当時のボクには想像を超えた未来のクルマに見え(50年も先に生まれたクルマだから当然だ)、そのカッコ良さと大径19インチタイヤの迫力に驚くばかりだ。なにしろ当時の4ドアのクルマはスポーティカーでもずんぐりしていて、タイヤも13インチが主流だったのである。

※写真は欧州仕様

 クルマのメーカーは分からない。一瞬、ガイシャかと思ったが、右ハンドルである。というのも、今の楕円形のトヨタエンブレムが採用されたのは1989年からで、70年代当時はTOYOTAというエンブレムだったのだ。だからトヨタ車とはわからないのだ。

※写真はPHEV

 そして現代からやってきた、新型プリウスを知る彼女からキーを渡される。がっ、当時のキーとは違う。クルマのドアオープナー付近にある鍵穴に入る鍵先がないリモコンキーだから、リモコンキーなど知らないボクはドアを開けることなどできない(新型プリウスでも運転席側のドアオープナーにはリモコンが使えないときのために鍵穴はある)。渡されたクルマの鍵を鍵穴に差し込めないボクはオロオロするばかり。そこで現代からやってきた、新型プリウスも、リモコンキーも知る彼女が、リモコンキーを操作、プッシュしてドアロックを解錠する。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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