この記事をまとめると
■国産Mクラスミニバンの3列目シートの収納方法を解説
■ノア&ヴォクシー、セレナは跳ね上げ式を採用している
■ステップワゴンは床下に格納できる仕様となっている
3列目シートの収納方法を比較してみた
いまやファミリーカーの定番ともなったのが、Mクラスボックス型ミニバンだ。国産Mクラスとしてはステップワゴン(1996年~)、ノア&ヴォクシー(2001年~)、日産セレナ(1991年~、FF化されたのは1999年発売の2代目から)の3台が熾烈な戦いを繰り広げている。扱いやすいボディサイズにして、背の高いボディに3列シートを備え、多人数乗車可能なクルマであり、3列目席を格納すれば大きな荷物も積むことができ、ある意味、日本にジャストなクルマのカタチのひとつといっていい。
※画像は全車先代モデル
そんなMクラスボックス型ミニバンの最新型が、6代目となる日産セレナの新型の登場でついに出揃った。となれば、いろいろ比較したいところだが、今回は多人数乗用車と大容量ハイトワゴンというふたつの使い方ができるMクラスボックス型ミニバンならではの、3列目席の格納方法について比較してみたいと思う。
まず、3車はふたつのグループにわけられる。ひとつ目は左右跳ね上げ式の格納方法で、これはセレナとノア&ヴォクシーが採用する。一方、ステップワゴンは、オデッセイがそうであったように、床下にすっきりと収める格納方法にこだわっている。
左右跳ね上げ式のメリットとしては、床下収納が確保できるところに尽きる。床下収納式ではその部分に格納したシートが収まるため、床下収納はつくれない。デメリットとしては、5:5分割式とはいえ、跳ね上げ操作に力がいることと、格納した3列席がリヤクォーターウインドウの視界を妨げてしまうことである。
ノア&ヴォクシーの3列目席格納方式は、先代は跳ね上げまでワンタッチ。ベルトによる固定は手動でけっこう力が必要……というものだったが、4代目の現行モデルは、3列目席の完全ワンタッチ格納、固定を実現。ただし、リヤクォーターウインドウの視界のほとんどがふさがれてしまう。
が、セレナは旧来方式の全手動跳ね上げ方式のままだが、左右跳ね上げ格納位置を極力低めたことで(先代から)、リヤクォーターウインドウの視界の3分の2を確保することに成功している。発想としては、車いす仕様で、3列目席を格納した3列目部分に乗車する際の左右の視界確保が主なポイントだったという。左右の視界がふさがれると、クルマ酔いしやすくなるとも言われている。
ただし、3列目席左右跳ね上げ式を採用するノア&ヴォクシーと新型セレナには大きな違いがある。それは、格納したときの格納部分の荷室幅である。ノア&ヴォクシーの場合はかなり薄く畳め(3列目席そのものが薄い)、格納位置が高いため、フロアから一般的な荷物を置く高さまでは、フロア幅いっぱいに使えることになる。
が、新型セレナはノア&ヴォクシーよりずっと低い位置の格納になるとともに、かけ心地にもこだわったシートゆえに、畳んだときの厚みがあり、そのときの左右格納シート間幅はフロア幅約940mmに対して約750mmにまで一気に縮まってしまうのだ。格納シート位置が低めなので、実用積載性に影響しないでもないのである。