この記事をまとめると
■政府の税制調査会にて走行距離課税の導入が議題に上がった
■走行距離税は公共の交通機関を使いにくい地域に住む人たちを困らせる制度となる
■誰でも納得できる自動車税制を改めて構築すべき時期になっている
クルマは所有しているだけで税金が徴収されている
いまはクルマを所有していると毎年、自動車税(あるいは軽自動車税)を納めて、車検を受けるときには自動車重量税も徴収される。自動車税はエンジンの排気量に応じて課税されるが、電気自動車にはこの課税方法が通用しない。そこで、小型/普通車の電気自動車が納める自動車税は、年額2万5000円(2019年9月末日までの登録では2万9500円)になる。エンジン排気量が1リッター以下のもっとも安い税額を適用した。
そこで政府の税制調査会によって生み出された自動車税の考え方が、走行距離課税(通称/道路利用税)だ。走行距離が伸びるほど、道路も多く利用するから、税額を増やすとしている。
走行距離課税については、自動車工業会が反対している。これは当然で、公共の交通機関を使いにくい地域に住む人たちをさらに困らせる制度になるからだ。毎日の買い物や仕事のために走行距離が伸びて、それによって燃料代だけでなく税額まで増えたのでは、困る人が大勢生じる。
また、遠方まで出かけると税額が増えるから、次第にクルマの使用を控えるようになる。たとえばスキーなどに出かけるときも、節税のためにクルマを避けて公共の交通機関を利用する。このような生活を続けると「クルマを持たなくてもイイんじゃないの?」と考える。クルマの売れ行きが下がり、環境性能割などのクルマ関連の税収も減り、国と自動車業界の両方が困窮する。
そして、道路利用税の考え方は、すでに自動車重量税に反映されている。自動車重量税は文字どおり車両重量が重くなるほど税額も増える。その理由は、ボディの重いクルマほど道路を痛めると考えたからだ。道路利用税も同じ発想だ。