本場の欧州でもモーターショーが「オワコン化」するなかアメリカの3つのショーが存在感を見せる理由 (2/2ページ)

シカゴオートショーにはワーク仕様のモデルが多数

 また、デトロイトショーに比べシカゴオートショーは会場でワールドデビューするモデルは少なく、市販車メインの展示でトレードショー色を強めて開催を続けてきた(いまはデトロイトショーが衰退しているのでシカゴオートショーのほうがワールドデビューモデルは多いぐらいにはなっているが……)。前述したようにピックアップトラックのニーズも高いので、展示車も多く、しかもパーソナルユース仕様だけでなく、高所作業車などいわゆる「ワーク仕様」のモデルの展示も多く、バンやパトカーなども展示されており、見ごたえも十分になっている。

 シカゴショーが終わったあとすぐに、3月下旬から4月上旬あたりからニューヨークのマンハッタン島で「ニューヨーク国際オートショー」が開催される。こちらも人口の多いニューヨーク地区で開催されるので集客もかなり多いが、ニューヨークという土地柄、投資関係の人へのアピールの場所と捉えて出展するメーカーも多いようだ。ショー会場のほか、さまざまなイベント会場で各メーカーが個別に新車披露パーティなどをショー開催のタイミングで行っている。

 西海岸では「ロサンゼルスオートショー」が開催される。近年ではカリフォルニアが環境問題に積極的に取り組み、アメリカ国内でも桁違いにBEV(バッテリー電気自動車)が走っている土地柄なので、BEVをメインとしたZEV(ゼロエミッション車)関連の展示が目立っている。地元ロサンゼルスはまさに自転車代わりにクルマがないと生活できない地域。そのためクルマが当たり前すぎて、地元の人のオートショーへの眼差しは意外なほど冷めているのだが、ZEVに熱心という特徴が定着してきたので、シカゴ、ニューヨーク、ロサンゼルスの各オートショーは今後も世界から注目され、いまの存在感を維持していくのではないかとされている。

 ヨーロッパでは自動車は兵器以上に社会にとって悪いもののように見られていることもあり(内燃エンジン搭載車)、オートショーの衰退が止まらない。アメリカでもデトロイトショーの衰退は目を覆うばかりだが、それは局地的というかデトロイトショー固有の問題のほうが大きく作用しているともいえるだろう。自動車が生活に密着している国らしく欧州のような『オワコン』へ加速していくようなことはなく、当分話題をふりまいていきそうである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

-

愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

新着情報